福井県みどりのデータバンク 動物目録(淡水生貝類)

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福井県産淡水生貝類リスト(水系別)


  和名\水系 九頭竜川本流 日野川 足羽川 浅水川 竹田川 大味川 河野川 笙の川 南川 北川 耳川 佐分利川   北潟湖 久々子湖 三方湖
1 イシマキガイ                    
2 オオタニシ      
3 マルタニシ          
4 ヒメタニシ                
5 カワグチツボ                            
6 カワザンショウガイ                    
7 カワニナ
8 チリメンカワニナ                          
9 モノアラガイ      
10 ヒメモノアラガイ                  
11 サカマキガイ      
12 ヒラマキミズマイマイ                
13 ヒラマキガイモドキ                      
14 カワネジガイ                        
15 ヒダリマキモノアラガイ                          
16 カワコザラガイ              
17 カワシンジュガイ                            
18 イシガイ        
19 トンガリササノハガイ                            
20 マツカサガイ              
21 カラスガイ                            
22 ドブガイ        
23 マルドブガイ                            
24 カタハガイ                    
25 ヤマトシジミ                    
26 セタシジミ                            
27 マシジミ  
28 ドブシジミ                        
29 フクイマメシジミ                        
◎:2回の調査でともに生息が確認された陸水生貝種
○:第2回調査で生息が確認された陸水生貝類
△:第2回の調査では生息が確認されなかったが、第1回調査の調査で確認されている種および過去の文献記載種

                  
(1)竹田川と北潟湖
 竹田川は流程41.9ku、周囲19.4q、湖底は最深でも3.6qの平底形の湖であり、北端で大聖寺川と合流する砂州堰止湖である。湖奥の南湖は淡水域で、中湖と北湖は汽水域である。また、国道によって中湖から北に別れている福良ヶ池があり、北潟湖とともに富栄養湖である。第2回調査では、、8科9種の陸水生貝類が確認された。特にドブガイ、オオタニシの大型個体が共に多数生息しサカマキガイが増加している。
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(2)九頭竜川
 九頭竜川は岐阜県境の油坂を源流とし、嶺北地方全域の降水を全てまとめる流程116.3qの一級河川である。上流域の陸水生貝類はカワニナぐらいが生息するのみである。柿ヶ原から下森田までの中流域は、川底が大礫底から砂礫底、砂泥であり、周囲には水田、溜池が多くなり本流に生息する陸水生貝類のほとんど占める。第2回の調査では6科14種(表)の生息を確認した。 日野川合流点から下流域にあたり、底質は砂から砂泥、泥質であり、水質も市街地の排水を集め、水質汚濁が甚だしい。陸水生貝類はサカキガイやヒメタニシが辛うじて生息するのみである。場所によっては全く生息しないところもある。
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(3)日野川(九頭竜川一次支流)
 日野川は全流程65.45qであり、上流にある広野ダム、現在建設中の舛谷ダムがあり、武生市や鯖江市、福井市の農業や用水に使われ、また、都市下水や工業排水を加えるなど我々に関連の深い河川である。
  源流から宇津尾の上までが上流域。川底は巨礫、大礫底で、カワニナしか生息しない。ただ、埋没池である夜叉が池にはフクイマメシジメが生息している。流入河川のない閉鎖された池のためか、近年酸性度が上昇しその生息が危ぶまれている。
宇津尾から鯖江市の石田橋までが中流域で川底は大礫、中小砂礫底である。今庄町湯尾から武生市家久の辺りまでは周囲に水田が広がり、池や農業用水池も多く豊富な陸水生貝類を示す。石田橋から九頭竜川合流点までで、川底は砂礫底から砂質・砂泥質となり、とくに石田橋下流は浅水川や天王川などの水質汚濁の強い河川が流入するので水質は悪化する。陸水生貝類は9科15種の生息が確認された。過去に生息が確認された種を含むと18種にもなり、豊富な陸水生貝類を示す(表)。
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(4)浅水川(九頭竜川二次支流)
 浅水川は、武生市や鯖江市・今立町の山麓から降水を集め、水田地帯を流れる流程29.86qの中河川である。支流や水量が少ない。川底は砂礫質・泥質で、福井県内でも水質汚濁の強い河川のひとつである。
水田の乾田化が進みマルタニシ、オオタニシ類が激減している。水路や河川にはカワニナやサカマキガイ、ヒメタニシが優先し、第2回の調査で8科12種の生息が確認された(表)。  
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(5)大味川
 大味川は貴重種のカワシンジュガイが生息していた場所で、越知山(612m)を源流域として、周囲約4q武周ヶ池に湛水し、福井市畠中を通って日本海に一気に流れ込む流程9.3qの小河川である。川底は大礫や砂礫底で水質はよいが、河川改修が進み数と個体数ともに少ない。第2回調査も2度精査したが3種を確認したのみである(表)。 
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(6)河野川
 河道の勾配が急な流程5qの小河川である。水域全体が貧富水性であり、周囲に水田地帯も溜め池なども少なく、個体数ともに少なく、3科3種を確認したのみである(表)。
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(7)足羽川(九頭竜川二次支流)
 足羽川は冠山(1,257m)などを源流域とし、池田町、美山町を通って福井市で日野川に合流する流程56.8qの河川である。部子山の古池の消滅でいなくなったフクイマメシジメが、冠山山中の20uの沼で生息していることが確認され、注目された。しかし近年水量が少なくなり生息が危ぶまれている。
     志津原から美山町東郷中島にあたり、川底は中小礫質、砂底質である。以後、日野川合流点までが中流域で中小礫質、砂底質が続く。源流から福井市街地に入るまでは、貧腐水性であるが、市街地外れから急激に悪化し、強腐水性となる。川底は礫質、砂泥質、泥質である。
源流から美山町安波賀中島あたりまでは、カワニナ以外見るべきものがない。ただ、持越発電所の湛水域からドブガイの死殻が見つかったので再調査が必要である。この水系は、水田地帯や市街地を含むので流域全域では7科14種が確認され豊富な陸水生貝類相を示している(表)。美山町安波賀中島から絶滅危惧種のイシガイ、マツカサガイ、カタハガイの生息が確認されているので、この水域生息環境、周囲の自然環境を保全する必要がある。
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(8)笙の川
 笙の川は流程18.3q河道勾配の急な河川である。本流は源流から杉箸まで上流域、川底は大礫である。杉箸から木の芽川合流点までが中流域で川底が大中砂礫質の合流点から河口まで小礫、泥質の下流域にあたる。
水質は本流、黒河川、本流が全体的に貧栄養型で清流であり、木の芽川合流点から下流にやや水質汚濁がみられる。上流ではカワニナのみで、敦賀市の木の芽町などの市街地からサカマキガイが生息する。第2回調査で5科5種の生息が確認された(表)。
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(9)耳川
 耳川は第1回の未調査地域である。源流から松屋までが上流域、松屋から河原市までが大・中砂礫質の中流域、和田橋からわずかな距離の河口までが下流域にあたる。水質は貧腐水性で、陸水生貝類の生息数、個体数が少なく、第2回調査で6科6種の生息が確認できた、美浜町河原市では葦河原にカワサンショウガイが生息している(表)。
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(10)三方湖及び久々子湖周辺
 三方五湖は三方断層による陥没湖で、純淡水湖の三方湖、五湖の中で最大水月湖、五湖中最小の管湖、海水が流入する内湾的な日向湖、水深が浅く、早瀬水道から海水が流入する汽水湖の久々子湖からなる。第2回調査では、三方湖と流入河川のはす川、久々子湖周辺を調査した。三方湖は、面積3.58ku、5,8m、久々子湖は面積1.4ku、2.5mで両者とも富栄養の湖である。第2回調査では、三方湖では7科12種、久々子湖では6科7種の陸水生貝類を確認した(表)。三方湖では40年ぶりにマルドブガイを、久々子湖ではカワグチツボの生息を確認した。また、両湖とも富栄養化が進み、水質汚染の進行を表わすサカマキガイ、ヒメタニシが生息する。管湖、日向湖は毎年アオコが大量に発生する湖となった。

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(11)北川
 北川は、滋賀県の武奈ヶ岳(865m)や三十三間山(843m)を源流域とし、滋賀県の天増川から福井県に入って北川と名前を変える。鳥羽川や遠敷川を合流して小浜市街地で若狭湾に注ぐ。流程18.21q一級河川で、源流から熊川の上まであたりが上流域、熊川から高塚までが中流域、高塚橋から河口までが下流域にあたる。
第2回の調査で8科12種の陸水生貝類の確認ができた。多田川など下流域に流入する支流でや市街地でサカマキガイの生息が確認されたことから、水質汚染が進行しているのがわかる。ただ、太田庄川でイシガイ、マツカサガイ、ドブガイの生息が確認できたことは注目される(表)。
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(12)南川
 南川は、三国山(776m)や八ヶ峰(800m)、頭巾山(871m)など、京都府との県境を源流域として、田村川、久田川を合流して小浜湾に注ぐ流程32.4qの二級河川である。源流から谷口までが上流域、棚橋から下流の中井まで中流域、湯岡から河口までは下流域である。また、水質は湯岡までは貧腐水性であるが、小浜市街を通過して汚濁がみられる。
 第1回調査では確認できなかったモノアラガイ、カワザンショウガイ、サカマキガイなど6科8種の陸水性貝類が生息している(表)。
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(13)佐分利川
 佐分利川は流程13.5q、京都府境の源流から川上までが上流域、川上から岡安あたりまでが中流域、岡安から河口までが下流域にあたる。第2回調査で、河川改修前のイシガイを含めて、8種の陸水生貝類の生息が確認できた。河口のアシ河原の泥質底や礫上にカワザンショウガイが多数生息している(表)。
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(14)その他の陸水域
 大飯町の宮留や浦底の農業用溜め池には、ヒメモノアラガイ、ヒラマキズマイマイなどが生息している。嶺南地区は今後調査を継続していく必要がある。
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出典:「福井県の陸水生物」(1998年3月 福井県県民生活部自然保護課)