泉鏡花作の戯曲「夜叉ヶ池」が、昭和53年に板東玉三郎主演で映画化されたこともあって、全国的にも有名になった池です。標高1,100m、岐阜県との県境にあるせき止め湖で、その位置の特異性と1年中水が枯れないことなどから、多くの人々の注目を集めています。
円形に近い池の周辺は、ブナの原生林で囲まれ、夏はタテヤマリンドウ、ニッコウキスゲなどの可憐な高山植物が登山者を迎えてくれます。また、夜叉ヶ池はモリアオガエルの繁殖地としても有名で、初夏には岸辺の樹木に産みつけられた白い卵塊が数多く見られます。
所在地 | 南越前町 |
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湿地タイプ | 淡水湖沼 |
面積 | 1ha |
標高 | 1006m |
保護区指定 |
ヤシャゲンゴロウは、夜叉ヶ池が世界でただ一つの生息地となっている大変珍しい昆虫です。本州中部より北の高地の湖沼に分布するメススジゲンゴロウの近縁ですが、ヤシャゲンゴロウはメスの体にすじの模様がなく、最近の研究によって固有種と判断されました。
大昔はメススジゲンゴロウと同一種であったものが、長い間他の地域と隔絶されていたために、独自の進化をして、別の種に分かれたものと考えられています。そのため種の進化の仕組みを研究する上でも極めて貴重な水生昆虫の一種です。