23.夜叉ケ池周辺 −神秘の池と深山の野鳥−
 夜叉伝説が残る神秘の池は,標高1,099mのブナ原生林に囲まれています.水の流れ込む川も無ければ流れでる川も無く,さらに真夏でも枯れることの無い神秘的な池です.新緑や紅葉のころは,稜線からの岐阜県側の眺めは素晴らしく,気軽に登山気分が味わえて渓流から森林までの鳥が楽しめる探鳥地です.
◆探鳥カレンダー ◆探鳥地の地図
◆探鳥ガイド
  • 林道終点の登り口から渓流沿いに歩きだすと,瀬音の中からミソサザイの大きな声が響いてきます.梢からはオオルリやキビタキの声が転げ落ちてきますし,地上近くではヤブサメやウグイスの声が迫ってきます.もしアカショウビンの声を聞けたならばラッキーです.爽やかな空気の中,イカルの澄んだ声やクロツグミ,ヒガラの声に心身共に洗われる思いがします.
  • 1時間余り歩くと渓流とも別れてジグザグの急登が始まります.両方の谷筋ではホトトギスやツツドリが,頭上のミズナラの梢ではヒガラやシジュウカラが鳴き,識別するには最適です.初夏のシャクナゲを愛でながらジュウイチやコマドリの声を聞く気分は最高です.
  • 急登も終わりになるころはコマドリ,クロジ,コルリ,メボソムシクイ,コガラなど,時にはエゾムシクイの声も聞こえてきて,自然林の素晴らしさを体験できます.
  • 3時間も歩くとひょっこりと夜叉ケ池が現れます.小さな祠の前から池の縁伝いに県境で出ると岐阜県側の視界が広がり,涼しい風が疲れを癒してくれます.初夏に咲き乱れるニッコウキスゲや秋に織りなす錦の紅葉は最高です.
  • 狭い岩稜にあるスリル満点の夜叉丸で休憩をとっていると,イヌワシの飛翔に出会えるかもしれません.秋は,カラ類やカケスを代表に,時にゴジュウカラが枝移りしている他は少し寂しくなりますが,10月の渡りの季節にはツグミやアトリなどの冬鳥が見られるようになります.

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出典「福井の鳥とけものたち」(1998年3月 福井県自然保護課)