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ナホトカ号重油流出事故による水鳥救護の記録

−保護・回収−

油汚染を受けた水鳥の保護・回収は、県の機関・組織(自然保護課、自然保護センター、林業事務所、嶺南振興局、鳥獣保護員)と日本野鳥の会福井県支部、自然塾きびたきの会が中心となって実施しました。

段ボール箱に入れられた水鳥

その際、水鳥の取扱いについて、以下のように留意しています。


海岸をパトロールする野鳥の会会員

日本野鳥の会福井県支部では、水鳥の汚染状況調査を含む定期的なパトロールおよび保護・回収された水鳥の種の同定について協力しました。


保護・回収された水鳥の種と個体数
福井県において保護・回収された油汚染水鳥の個体数の日変化

1月9日に、最初に保護・回収されたのはミツユビカモメ、ウミスズメ、アカエリカイツブリでした。個体数は、徐々に増加し1月15日に20羽と最も多く、2月2日まで1日あたり平均6.2羽の個体が保護・回収されましたが、2月3日以後は、多くて1日あたり3羽となっています。最後に保護されたのは、3月10日のウミネコでした。


福井県において保護・回収された油汚染水鳥の種構成の変化

初期は、アカエリカイツブリとウミスズメが大半を占め、次いでウトウが多くなり、15日めを過ぎるとオオハム類が、そして20日めを過ぎるとウミネコが多くなりました。

最終的に、重油の付着・汚染で、計5目6科19種170羽の水鳥が保護・回収されました。その多くは海洋性の種で、ウトウ53羽(31.2%)、ウミスズメ25羽(14.7%)、シロエリオオハムまたはオオハム計24羽(計14.1%)、アカエリカイツブリ21羽(12.4%)などで、それらで全個体数の86.4%を占めています。

保護・回収された個体のうち98羽(57.6%)が、発見時すでに死亡していました。死体で回収された割合は、ウトウで最も高くて98.1%を占め、次いで、シロエリオオハム(54.5%)、ウミスズメ(44.0%)などとなっていました。


ナホトカ号の重油流出事故によって福井県で保護・回収された種と個体数
学名 生体(羽) 死体〔羽) 小計〔羽) 割合(%)
アビ アビ アビ Gavia stellata 1 0 1 0.6
シロエリオオハム Gavia pacifica 5 6 11 6.5
オオハム Gavia arctica 11 2 13 7.6
カイツブリ カイツブリ アカエリカイツブリ Podiceps grisegena 14 7 21 12.4
ハジロカイツブリ Podiceps nigricollis 2 2 4 2.4
ペリカン ウミウ Phalacrocorax capillatus 2 4 6 3.5
ヒメウ Phalacrocorax pelagicus 0 2 2 1.2
ガンカモ ガンカモ ホシハジロ Aythya ferina 0 1 1 0.6
シノリガモ Histrionicus histrionicus 0 1 1 0.6
ウミアイサ Mergus serrator 1 0 1 0.6
チドリ カモメ セグロカモメ Larus argentatus vegae 1 1 2 1.2
オオセグロカモメ Larus schistisagus 0 2 2 1.2
カモメ Larus canus 1 0 1 0.6
ウミネコ Larus crassirostris 17 3 20 11.8
ミツユビカモメ Rissa tridactylus 1 1 2 1.2
ウミスズメ ウミガラス Uria aalge 0 1 1 0.6
ウミスズメ Synthliboramphus antiquus 14 11 25 14.5
コウミスズメ Aethia pusilla 1 1 2 1.2
ウトウ Cerorhinca monocerata 1 52 53 31.2
不明 不明 不明   0 1 1 0.6
計5目 6科 19種 計(羽) 72 98 170 100
  割合(%) 42 57.6 100  
保護回収 [image] 洗浄治療 [image] リハビリ [image] 放鳥
援助物資

(出典 「ナホトカ号重油流出事故による 水鳥救護の記録」 1998年3月 油汚染水鳥救護福井の会)
福井県自然保護課