福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥獣の重要な生息地
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名   称 九頭竜川中流域
学   名
分 類 1 鳥獣の重要な生息地
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市丸岡町松岡町:(471,472,510,511,549,550,586,587)
選定理由 渡り鳥の渡来地または中継地、猛禽類の多様な地域
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  九頭竜川の中流域のうち,特に福井市内を流れる範囲は,川幅も広く緩い流れであり,かつ古くから鳥獣保護区に指定されていることもあって,鳥類相が豊富である.少なくとも計11 目26 科75 種が記録され,特にカイツブリ類,サギ類,カモ類,カモメ類,シギ類,チドリ類などの水鳥または水辺の鳥類が多い.サギ類では,アオサギ,ゴイサギ,ダイサギ,チュウサギ,コサギ,アマサギなどが多く見られ,本県で最も大規模な集団営巣地が,福井大橋(国道8 号線)付近にあったが,1996 年から下流の天池橋付近に移動している.カモ類にとっては,安定した越冬地となっており,1987 年から1998 年の「ガンカモ科鳥類生息調査」によると,平均で7 種3,262 羽が記録されている.また,福井市足羽川や鯖江市日野川とともに,本県でも数少ないカワアイサの渡来地となっているが,1991年をピークにその個体数が減少傾向にあり,動向が心配される.また,タカ類ではミサゴ,オオタカ,ノスリ,チョウゲンボウなどが観察され,時にオジロワシが飛来することもある.オオタカ,ノスリなどは越冬期に出現し,チョウゲンボウは本地域の一角で,1995 年から繁殖し始めている.これらは,中州,河川敷の林地や平地をハンティング場所として利用している.そして,広い河川敷が存在しているために,ホンドキツネ,ホンドタヌキ,ニホンノウサギなどの中型の哺乳類の生息も確認されている.このように,本地域は市街地の一部にありながら,県内でも野生動物の最も多様な場所のひとつである.
保護の現状
 と留意点
 現在,本地域では「鳥獣保護法」により狩猟が規制されている.本地域は,市街地にありながら草地,ヨシ原や河畔林などの環境を含む広い河川敷が発達しているのでまだ自然が保たれている所である.しかし,治水上の観点から整備が行なわれる場合であっても,多自然型工法などを取り入れて多様な環境を保存または創出する努力が必要であろう.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)