福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥獣の重要な生息地
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名   称 足羽川中流域
学   名
分 類 1 鳥獣の重要な生息地
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
福井市美山町:(407,441,476,515)
選定理由 渡り鳥の渡来地または中継地、猛禽類の多様な地域
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  足羽川は,今立郡池田町の冠山(標高1,256.6m )を源とし,足羽郡美山町から福井市を流れ日野川に至る河川である.福井市内では,河川敷を含めてもせいぜい200m ほどの河幅である.ここでは,ほぼ1 年間で計13 目28 科98 種の鳥類が記録されており,鳥類相が豊富である.タカ目では,トビ,オオタカ,ハイタカ,ケアシノスリ,ノスリ,ハヤブサ,チョウゲンボウが確認されている.特にオオタカの3 個体とノスリの4 個体がそれぞれ同時に観察された例があり,河川敷にある高木の存在や餌となる小動物が豊富なことがあげられる.福井市内の近郊から市街地にかけて毎年,多くのカモ類が飛来し,1993 年から1998 年の「ガンカモ科鳥類生息調査」によると,平均で毎年,11 種3,788 羽が記録されており,個体数および種数についても豊富である.市街地を流れる部分では,毎年,ハシビロガモが確認されており,本県では,この種の主な飛来地となっている.この区間については,河川改修により環境が無機化した所も見受けられるため,河川管理に支障のない程度の低木の植栽による遮蔽物の設置がカモ類の警戒心を解くために必要なもと考えられる.また,カワアイサについても本県の主たる飛来地となっている.
保護の現状
 と留意点
 現在,本地域では「鳥獣保護法」により狩猟の一部が規制されている.ヤナギ類の皆伐が,河川管理者の配慮により避けられていることから,川幅が狭い割にカモ類も安定しているが,1998 年のガンカモ科鳥類生息調査では個体数が激減している.これが一時的な現象かとも思われるが,今後の状況に注目したい.本地域は,市街地にあるため散歩や探鳥の場として多くの市民に親しまれている.しかし,治水上の観点から整備が行なわれる場合であっても,多自然型工法などを取り入れて多様な環境を創出する努力も必要であろう.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)