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【動物目録の該当ページ】
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名 称 |
コアジサシ | ||
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学 名 |
Sterna albifrons | ||
分 類 1 |
鳥類 | ||
分 類 2 |
チドリ目カモメ科 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
特定せず | ||
選定理由 |
保護上重要な種・亜種 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
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解 説 |
種としては,温帯・熱帯域に広く分布し,亜種コアジサシが東アジアに分布する.日本には,本亜種が夏鳥として本州以南に渡来し,約10,000 つがいが繁殖していると推定されているが,ほかの諸国での確実な繁殖情報は少ない.本県では,3 月下旬に渡来し8 月初旬にはいなくなる.以前は三国町の福井新港や武生市の日野川などでも繁殖していたが,1995 年以降は九頭竜川でのみ営巣が確認されている.主に海岸や河口に生息し,大河川であればその中流域まで見られる.砂利の多い,埋め立て地や河川敷などで集団営巣する.全国では,一時期,海岸の大規模な工事による造成地が次々と出現し,本亜種に集団営巣地(コロニー)を提供し続けたこともあったが,そこに建造物が造られたため恒久的な営巣地にはなっていない.近年では,安定した営巣地は50 カ所に満たないといわれている.本県においては,繁殖の成否は,増水の程度によって大きく左右されるようである.また,治水が整ったために草地が広がり,営巣に適した場所が少なくなっている.外敵に対応するためには,大きな営巣地の形成が重要と思われる.本亜種は,水中へダイビングして,主に体長10cm 以下の魚類を捕食するが,ごく稀にエビ類や昆虫なども採る.アジサシ類は,採食に技術が必要なためか,巣立ち後も長い間,親から給餌を受ける. | ||
保護の現状 と留意点 | 現在,「鳥獣保護法」および「種の保存法」で本亜種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.本亜種を保護するには,その生息環境,特に営巣地の保全が重要である.このことは,一緒に営巣することで外敵から守られるシロチドリやコチドリなどの保護にもつながる.現在ある営巣地を保全するためには,河川敷の改変が治水上必要な場合でも実施時期を変更したり,また,地域住民の同意を得て車や人の侵入を法に基づき規制することも制度上可能である.また,営巣地を,アメリカでの事例のように人工的に造成・整備し,誘致することも考えられる.しかし,日本で人工繁殖地を創造するには,河口近くに隔離された保護区が設定されていること,人的圧力および捕食圧が少ないこと,採餌場所となる2 つ以上の異なる水辺環境に近いことが,重要と考えられる. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) 出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行) |