福井県レッドデータブック データベース

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鳥 類
 

 コアジサシ

 

 チドリ目カモメ科

 Sterna albifrons (Pallas)

 福井県カテゴリー  県域絶滅危惧T類
 環境省カテゴリー  絶滅危惧U類
 
 
 
  
 ●種の特性
全長28cm の小型のアジサシで,河口,砂浜,埋立地,河川の中州などでコロニーを形成して繁殖する.
海岸,河川,湖沼などの上空を飛び回って小魚を探し,見つけると停空飛翔を交えて狙いを定め,嘴から水中に飛び込んで捕らえる.
 ●生息状況
本種は,北極圏と南極大陸を除く全世界に繁殖地が散在する.日本には夏鳥として本州以南に渡来する.
本県ではかつて日野川や福井新港等でも繁殖し,足羽川や県庁のお堀などでも観察されたが,1990 年代以降は,九頭竜川で30 羽程度の小さなコロニーの繁殖記録があるに過ぎない.しかも,その多くは梅雨の増水でコロニーが水没し繁殖に失敗している.1999 年には久しぶりに繁殖に成功したが,この年の中州は,前年の集中豪雨でこれまでになく高い中州が形成され,梅雨の増水でも水没しなかったからである.
福井県の九頭竜川に訪れるものは,渡来時期が6月であることから,他の北陸地方の繁殖地からの移動個体である可能性が高く,本種の繁殖環境を保全するには,定期的に中州を造成するなどの施策が必要である.
本種の保護のためには,北陸地方全体の生息状況を視野に入れながら,個々のコロニーで繁殖阻害要因を取り除く必要がある.
 ●存続を脅かす要因
北陸地方における主な繁殖地のほとんどが,河川の増水,ワシタカ類などの捕食,オフロード車の侵入などで,繁殖に失敗することが多い.
洪水がなくなったことにより中州が草本で覆われ,また残された砂礫質の中州も通常の増水で水没するため,本種が繁殖できる環境の消失が挙げられる.
 ●参考文献
福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
日本鳥類目録編集委員会(編集).2000 .日本鳥類目録改訂第6 版.345pp .日本鳥学会,帯広.
高野伸二.1990 .フィールドガイド日本の野鳥.342pp .財団法人日本野鳥の会,東京.
竹田伸一.1996 .コアジサシ.日本動物大百科 第3 巻鳥類T:120- 121 .
中村登流・中村雅彦.1995 .原色日本野鳥生態図鑑〈陸鳥編〉.301pp .保育社,大阪.

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