福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥  類
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名   称 チョウゲンボウ
学   名 Falco tinnunculus
分 類 1 鳥類
分 類 2 タカ目ハヤブサ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
  • ワシントン条約    :附属書U
解   説  種としては,ユーラシア大陸の中・高緯度地方,サハラ砂漠以南に分布し,冬期はユーラシア大陸南部,インド,東南アジア,アフリカ大陸に広がる.日本では,本亜種が,1960 年代までは長野県,山梨県,栃木県,山形県,宮城県でしかその繁殖が確認されていなかったが,近年,分布を広げて,現在では,北海道の一部と青森県,岩手県を除く本州中部以北で繁殖している.冬期は南下して,全国各地で観察される.本県では,これまで冬鳥として渡来してきたが,1995 年以後,福井市の郊外で繁殖していることが確認されている.主に草原,灌木草原,農耕地,河川敷などの開けた環境に生息するが,都市部のビル街でも見られるようになっている.本来は,崖にある棚などの自然物で営巣していたが,近年,大きな倉庫,鉄塔や鉄橋などの人工物でも営巣するようになっている.本県でも人工的な環境への進出が進んでいる.空中を旋回して地上を探索し,ホバリング後急降下して襲ったり,電柱などの高いところから見張り,地上近くを飛んで急襲することもある.小哺乳類や小鳥を捕らえるが,特にネズミ類が主な食物である.
保護の現状
 と留意点
 現在,「鳥獣保護法」により本亜種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.本県でも人工物での繁殖例が報告され始めているが,まだ個体数が少なく,今後の状況を把握していくことは重要である.特に,巣立ち前後の雛が,保護されたり捕食を受けたりしており,決して繁殖成績が順調であるとはいえない.本亜種が繁殖するには,営巣地に適した人工物以外に,ネズミ類,小鳥類,昆虫類が生息する草原などの開けた環境が必要である.これらの環境は,人間活動により急激に変化することも多く,仮に繁殖しなくなるようなことがあれば,草原環境の豊かさが失なわれたと考えられる.本亜種は,草原環境のバロメータ的存在として注目していくべき種である.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)