福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]   【動物目録の該当ページ
名   称 イヌワシ
学   名 Aquila chrysaetos
分 類 1 鳥類
分 類 2 タカ目タカ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
  • 文化財保護法     :天然記念物
  • 種の保存法      :国内希少野生動植物種
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
  • レッドリスト(福井県):県域絶滅危惧T類 / レッドリスト(環境省):絶滅危惧TB類(EN)
  • ワシントン条約    :附属書U
解   説  種としては,ユーラシア大陸,北アメリカ大陸,アフリカ大陸北部に広く分布する.日本では,本亜種が北海道,本州,四国,九州に分布しているが,現在,東北地方,中部地方から中国地方の日本海側を中心に,300 羽程度が確認されているにすぎない.本県では,12 〜20 羽が県境部の山岳地帯を中心に確認されているにすぎず,その行動圏は130 にも及ぶ.本県では,10 月頃からつがいで行動することが多くなり,12 月には巣材運搬を始める.1 月中旬〜3 月上旬に,2 卵を産む.抱卵日数42 〜45 日で,70 〜90 日齢で巣立つ.5 月下旬〜6 月中旬に巣立つことが多い.餌は,ほとんどがノウサギ,ヤマドリ,ヘビ類で占められており,樹木の葉が茂ってからはヘビ類の占める割合が高くなる.
保護の現状
 と留意点
 現在,「文化財保護法」,「鳥獣保護法」および「種の保存法」で本亜種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.日本イヌワシ研究会の調査によると,全国の繁殖成功率は,1981 〜1985 年には47.1%であったのに対し,1991 〜93 年には28.1%に低下している.本県でも,1977 〜1990 年の繁殖成功率が58.8%であったのに対し,1991 〜1995 年には24.1%に低下し,1 年間に巣立つ雛の数はわずか0 〜2 羽に過ぎない.さらに,1977 〜1994 年にかけて,生息状況が悪化したと推定された生息地は,10 ヶ所の内の5 ヶ所もある.そのため最も絶滅の危機に瀕している鳥類のひとつである.このように,本亜種の生息状況が悪化している原因として,開発行為による,営巣環境やハンティングエリアの消失や悪化および餌動物の生息密度の低下などが挙げられている.しかし,本亜種を保護管理していくために,各種開発行為との共存手法の確立や,繁殖成功に必要なハンティングエリアの面積や餌動物量の把握など,具体的な保護対策を実施していくには,今後の研究成果を待たねばならないことが多い.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)