福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥  類
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名   称 コハクチョウ
学   名 Cygnus columbianus
分 類 1 鳥類
分 類 2 カモ目カモ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 B(県レベルで重要なもの)
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
解   説  種としては,ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の寒帯で繁殖し,東アジアやヨーロッパ,北アメリカに渡って越冬する.日本には,本亜種が冬鳥として北日本や日本海側へ渡来する.西日本での越冬地として滋賀県琵琶湖や島根県宍道湖が有名であり,本県では,11月初旬ごろから3 月中旬ごろまでに,移動の途中と思われる群れが坂井平野の三国町の米納津,福井市の波寄町,坂井町の折戸や丹南地区の日野川などで,また,三方町の菅湖周辺でも数羽が観察される.稀に福井市内の足羽川に飛来し,2 〜3 日間,羽根を休めていることもある.通常10 羽前後で観察されるが,渡りのピーク時には30 〜40 羽が,1997 年11 月には64 羽が記録されたこともある.渡りの中継地や越冬地では,主に海岸近くの湖沼や河口,内湾などで見られ,本県の坂井平野では,ガン類とともに刈り取りの終わった水田を採食場所にしている.また,九頭竜川流域をねぐらにしている.刈り後田を歩きながら二番穂をしごいたり落ち穂を主に採食しているが,雑草の種子や根なども食べている.また,浅い水中に首を突っ込んで逆立ちになって上半身を入れて水草や根も食べる.大型で首が長いことからカモ類よりも深い水底で採食できる.
保護の現状
 と留意点
 現在,「鳥獣保護法」により本亜種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.採食環境としての九頭竜川付近の刈り後田は,ハクチョウ類とガン類にとって重要である.刈り後田は稲作の土壌づくりの一環として秋に田起こしを行なうが,これにより重要な餌となる二番穂が失なわれてしまい,冬期の餌の確保が難しくなっている.また,減反政策で多く見られるようになった休耕田に,水を張ることによって本亜種の好む湿地環境を増やすことができるであろう.冬期の生存率を高めるために,人為的な給餌も考えられる.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)