福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
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名   称 クロツラヘラサギ
学   名 Platalea minor
分 類 1 鳥類
分 類 2 コウノトリ目トキ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
  • レッドリスト(福井県):県域絶滅危惧T類 / レッドリスト(環境省):絶滅危惧TA類(CR)
解   説  旧北区の中国東北部から北朝鮮の限られた区域に分布し,冬期は中国南部から東南アジアに渡って過ごす.繁殖地はよくわかっておらず,朝鮮半島の沖合にある小島の岩石海岸に集団営巣地(コロニー)があるのが確認されているだけである.日本には,旅鳥または冬鳥としてごく少数が本州以南,特に九州(福岡県博多湾,鹿児島県万之瀬川),沖縄に飛来し越冬する.本県では,迷鳥の部類に入り,1981 年6 月に三国町の福井新港で初めて記録され,同じと思われる個体が8 月と9 月にも観察されている.また,1997 年5 月にも同所で観察されている.ともに完全な成鳥ではなく,若い個体であった.浅く水のあるヨシ原や入り江,干潟,水田,河川や湖沼などの砂泥地に生息すると言われている.本県での飛来した環境は,海岸の砂浜や河口付近の浅瀬が多く,石川県の河北潟では,水田にほかのサギ類と一緒にいるところも確認されている.浅い水の中をゆっくり歩きながら嘴を水中に差し込んで左右に振り回すようにして昆虫類,甲殻類,貝類,小魚などを採食する.単独で観察される場合が多いが,コサギなどの群れに混じっている場合もある.
保護の現状
 と留意点
 現在,「鳥獣保護法」により本種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.世界で約550 羽しか生存していないと考えられ,絶滅が危惧されている.本県には迷行してくるのであろうが,すべて福井新港で記録されている.どのような立地条件や環境が本種に選好されているのか不明であるので,詳細な調査が求められる.また,本県には,福井新港と同様の広い砂浜を有した入り江や河口はほかにもあるので,少しでも保全していくべきであろう.そして,事前に,その他の種も含めた湿地性の大型の希少鳥類の飛来に対する「対応・保護マニュアル」を作成しておくことも重要である.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)