福井県レッドデータブック データベース

[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]                          [写真を表示]
昆虫類
 

 マエダテツチスガリ

 

 ハチ目フシダカバチ科

 Cerceris pedetes Kohl

 福井県カテゴリー  県域絶滅危惧T類
 環境省カテゴリー  ―
 
 
 
  
 ●種の特性
1887 年に朝鮮半島産の雌の標本に基づきKohl が記載した.雄は1963 年に大野市菖蒲池(真名川河岸)で採集されたのが最初である.
体長9 〜16 o,黒地に黄色紋の多い美麗種である.マエダテという名の通り,雌の頭盾付属片は60 度ほどの角度で突起し,兜(かぶと)の前立に似ている.
本種の詳しい生態観察はなされていないが,他のツチスガリと同様,河川域の砂地に掘った土中の坑道に,2 〜3 室分の獲物のゾウムシ類を狩り仮貯蔵し,その後育房を作り獲物を運び込むと考えられる.
 ●生息状況
東シベリア,中国東北部,日本に分布し,わが国では青森,山形,埼玉,石川,福井の諸県から記録されている.
本県では大野市小池,菖蒲池,和泉村朝日前坂で採集されている.20 年あまり前の朝日前坂は,河原を地ならししただけのキャンプ場で,多くの砂地性昆虫に混じってマエダテツチスガリが生息していたが,大がかりな整地とともに,姿を消してしまった.その後どこからも生息が確認されていない.
 ●存続を脅かす要因
ツチスガリ類は,海岸,河川の砂地,切り通しの小さい崖,山道の裸地,神社の縁下などに営巣する.それらの営巣可能な地表環境が,掘り返され,大規模舗装,護岸工事等で無くなることが大きい原因である.
 ●参考文献
Tsuneki ,K .1961 .Studis on Cerceris of North Eastern Asia (Hymenoptera ,Sphecidae).Mem .Fac .
Lib .Arts .Fukui Univ .U(11):1- 72 .福井大学教育学部.
常木勝次.1961 .蜂類研究手引き(14)(4 )ツチスガリ(Cerceris)属.生物研究,5(3- 4):57- 63 .福井生物研究会.
Tsuneki ,K .&Haneda ,Y .1964 .On Cerceris pedetes Kohl of Japan ,with a description of the male .AKITU ,11(4):35- 47 .京都昆虫同好会.

Copyright(C)2002 福井県自然保護課