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●種の特性
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1958 年に青森県産の雌の標本に基づきEctemnius (Nesocrabro )の属名で記載されたが,1970 年に新設したCeratocrabro 亜属に移された.1983 年に雄の標本が採集されて,ようやく属所属の問題が解決し,常木博士はCeratocrabro を亜属から属に昇格された世界でも注目のハチである.
雌の体長は約10mm ,頭部が非常に発達した全身黒色のハチである.雄は複眼の内縁が強く下方に狭まり,これが属の特徴の一つになっている.
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●生息状況
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青森県から2 頭の雌と,福井県から雌雄各1 頭の標本しか採集されていない全くの希少種である.
本県では大野市中洞と鳩ケ湯で,8 月下旬と9 月下旬に,アブラムシのついたクルミ林の林床に生えた小雑木の葉上に飛来したものが採集された.付近の枯れ木に営巣している可能性が強い.本種が中洞,鳩ケ湯で採集されてから10 数年が経過しているが,その後目撃すらされていない.
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●存続を脅かす要因
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打波川流域はスギの植林が進み,蜂類の生息環境が悪化したとはいえ,まだ,ブナ,ミズナラ,クルミをはじめとする落葉広葉樹林が残っており,このような樹林帯の改変は本種の存続を脅かす.
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●参考文献
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室田忠男.1983.福井県の蜂類分布資料.蜂友通信,(16):1- 10.日本蜂類研究会.Tsuneki,K.1958.On the discovery of Nesocrabro in Japan,with the description of a new species.Konty u,26(4):197- 199.
Tsuneki,K.1983.Discovery of the male of Ceratocrabro shimoyamai (Tsuneki).SPJHA,(27):29- 32.日本蜂類研究会.
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