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●種の特性
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体長28 〜33mm ,胸部背面と鞘翅の地色は緑色をおびた茶褐色で,外縁は黄色帯で縁どられる.本州に2 亜種が分布し,福井県のものは新潟県−愛知県以西に分布する♀の鞘翅に深い条刻のある亜種ssp.validus に含まれる.成虫はほぼ年中見られ,新成虫は8 月下旬から9 月に羽化する.羽化した成虫が生息地を離れ,かなりの距離を移動することが知られている.
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●生息状況
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千葉県,東京都,神奈川県,新潟県,富山県,石川県,福井県,愛知県,滋賀県,大阪府,島根県からの記録がある.県内では原色福井県昆虫図譜の記録以外は小浜市遠敷からの不確実な記録があるだけであったが,1993 年に新たな生息地が確認された.見つかった生息地は周囲を林に囲まれた湧き水のある3 カ所の浅い池で,多数の成虫を観察している.しかし,その後,宅地造成等により埋め立てられるなど生息環境が著しく改変されたため,1998 年〜1999 年に行った数回の調査では1 頭も確認できていない.
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●存続を脅かす要因
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生息地の池やその周囲の改変が,存続を脅かす最大の要因である.マツクイムシ防除の薬剤散布も生息環境を悪化させる要因と考えられる.
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●参考文献
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森正人・北山昭.1993 .図説日本のゲンゴロウ.217pp .文一総合出版.
下野谷豊一(1993 )福井県産ゲンゴロウ類の分布記録.福井市自然史博物館研究報告.(40 ):83- 89 .
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