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●種の特性
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体長48 〜65mm の日本最大の水生カメムシ類で,小魚,オタマジャクシ,カエルなどの水生生物を捕食する.
6 月頃に雌雄はペアになり,水面から突き出た杭や抽水植物の茎などに60 〜100 個程度の卵を産み付ける. 産み付けられた卵塊は雄により保護される.
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●生息状況
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北海道を除く日本全国と中国,朝鮮半島に分布し,池沼,穏やかな流れの小川,水田などに生息する.止水域生態系の頂点に立つ本種は,生物濃縮や水田環境の変化により急速に分布を狭めつつあり,山間部のため池や農薬の影響のきわめて少ない水田周辺に局所的に見られるだけとなってしまった.
福井県での記録は緑のデータバンク調査(1978 )では5 カ所.現在最も新しい確かな記録は1982 年の大野市勝原(1 雌)の記録である.しかし,福井市合谷町,大野盆地一帯,南川流域において未確認ではあるが目撃情報があり,今後の調査での確認が期待される.
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●存続を脅かす要因
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止水域生態系の頂点に立つ本種は,そのえさとなる豊かな水生昆虫相を有する環境が不可欠であり,農薬等の影響も甚大である.このまま水辺環境の悪化が進めば,本種が絶滅する可能性は高い.
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●参考文献
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福井県.1999 .福井県のすぐれた自然 動物編.452pp .福井県.
福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会.1998 .福井県昆虫目録(第2 版).556pp .福井県. 都築裕一.2000 .水生昆虫 完全飼育・繁殖マニュアル.255pp .データハウス.
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