福井県レッドデータブック データベース

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淡水魚類
 

 ハス

 

 コイ目コイ科

 Opsarichthys uncirostris uncirostris (Temminck et Schlegel)

 福井県カテゴリー  県域絶滅危惧T類
 環境省カテゴリー  ―
 
 
 
  
 ●種の特性
日本におけるコイ科の淡水魚としては唯一の魚食性である.魚を追って捕食することから成魚の行動は活発で,驚くと水面に飛び出し,船の中に飛び込んできたりする.食物の供給が保証される大河川や湖沼に連なる河川でないと,生存は困難である.
形態上の特徴は,大きな「へ」の字型をした口で,他種との比較は容易である.なお三方湖産のハスの側線鱗数は45 〜48 で,琵琶湖産ハスの50 〜59 に比べて少なく,形態的にやや異なる.産卵期の雄は赤紫色の婚姻色が現れ,頭部や尾柄部,尻鰭には多数の追星が見られる.
 ●生息状況
現在では琵琶湖産稚アユの移植により,日本全国の大規模な河川の中流から下流部や湖沼に広く定着しているが,本来は琵琶湖淀川水系と本県の三方湖にのみ分布していたとされる.また,三方町の鳥浜貝塚から本種の骨が出土し,縄文人の食料となっていたことがわかっている.しかし,最近の調査では三方湖では確認されていない.その他に,本県でハスが確認されているのは,北潟湖に注ぐ観音川,九頭竜ダム湖であるが,これらはすべて移入によるものである.
 ●存続を脅かす要因
琵琶湖淀川水系を除くと,全国で唯一自然分布する三方湖は,近年の富栄養化によって水質は悪化の一途をたどっている.三方湖ではハスが確認されず,すでに絶滅した可能性も考えられる.仮に生息していも,移入されたハスとの間で交配がおこり,三方湖産ハスの特性が失われる可能性がある.
 ●参考文献
福井県.1998 .福井県の陸水生物.203pp .福井県.
中坊徹次編.2000 .日本産魚類検索.1748pp .東海大学出版会,東京.
田中 晋.1989 .ハス.日本の淡水魚,川那部浩哉・水野信彦編・監修:250- 255 .山と渓谷社,東京.

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