福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 高浜町名島の化石
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
高浜町:小黒飯(1158)
選定理由 古生物学的に重要な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  大飯郡高浜町名島周辺には新生代第三紀中新世の内浦層群(1,650 〜1,500 万年前)が分布し,多くの化石が産出する.Kobayashi and Horikoshi (1958 )はTectus Rochiajaponicus という巻貝の新種をはじめ,キューバオオムガイ(Aturia cubaensis )やナカムラタマガイ(Globularianakamurai ),トクナガイモガイ(“Conus ”tokunagai ),オザワサザエ(Turbo Marmorostoma ozawai )などの熱帯海域砂底に特徴的な化石群集を日本で初めて報告した.また,砂質凝灰岩からは,ノトアワビ(Haliotis notoensis )やオザワサザエ(Turbo Marmorostoma ozawai )などの巻貝,オオサワホクロガイ(Oxyperas osawanoensis )やビノスガイモドキ(Venus Ventricolidea sp .などの熱帯海域に多い二枚貝を産出する.また,多くの石灰藻やサンゴ,サメの歯などを産出する.凝灰質砂岩から産出する化石は,日本の中期中新世に熱帯砂底の環境があったことを示す最も有名なものであり,砂質凝灰岩から産出する化石群集は日本では数少ない岩礁性の化石群集であり,共に日本の中期中新世の化石群集を考える上でなくてはならない地点である.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園内である.この場所は日本で初めて中期中新世に熱帯砂底の環境が存在したことを示す証拠となった日本でも有名な露頭である.現在は名島周辺は高浜原子力発電所の敷地内で立ち入りが制限されており,露頭は保護されている.ただし,キューバオオムガイの産出した露頭については,地層の風化が進み現状ではほとんど化石を採集することができない.


 (図上のNO.195ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)