福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 上中の段丘
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
若狭町(旧上中町):三宅,仮屋(980,981,995,996)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  熊川断層に沿って流れ下る北川は,熊川で河内川と天増川に合流し,下流側の上中町で鳥羽川と合流し,若狭湾に流入する.上中町の集落の大半はこの河川の両岸の低平地に位置している.北川より以北は,熊川断層を境に300m 以上陥没していることが推定され,若狭湾の形成と大きな関わりを有している.三方断層と熊川断層に挟まれたこの地域を,三遠三角地帯と呼んでいる.北川流域の低平地においては,この地点以外には,段丘を構成するような地形はほとんど存在しない.最も発達した段丘が存在する三宅・仮屋地域では,段丘面と沖積低地との高度差は,およそ3m 以上で,その境界は崖状をなす.緩斜面を構成するこの美しい段丘は,上中町の市街地をなす市場・井ノ口・天徳寺へ広がっている.この段丘は,50 〜65m 位の高度で,比高5 〜15m で沖積低地との傾斜変換点は,前記したように明瞭である.歴史街道として脚光を浴びてきた熊川の宿を起点として,山地から低平地に広がる北川であるが,ほとんど扇状地様の地形が見られない.北西ー南東におおよそ直線状に伸びる北川の南側の山地は急崖をなし,これに対して北側の山嶺は300 〜400m の高度を有する低山地であり,その間に流路を有している.
保護の現状
 と留意点
 熊川断層は,若狭湾と琵琶湖の関係,さらに日本列島の運動や活断層と大きな関連を有している.ここにおける洪積台地は,これらの問題を解明するフィールドでの事実を提供している.熊川から山地を縫って琵琶湖に達するこの断層は,数条の破砕帯を伴って,断層礫や断層粘土さらには,断層による鏡肌が著しく発達している.断層による地形の形成に関わる地域として重要な役割を果たしている.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)