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名 称 |
久々子海岸の花崗岩と縄文洞穴群 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
地形地質 | ||
分 類 2 |
− | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
美浜町:久々子海岸(957,958) | ||
選定理由 |
希少な鉱物・岩石を産出する地点,地形形成史から見て典型的な地形 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
福井県内の海岸線には,多くの洞穴が存在する.それらには縄文時代を始めとして,先住民の時代の遺跡等が多く残されており,先住民の生活や歴史的事実の解明に大きな役割を果してきた.美浜の海食洞も同様に先住民の生活の住まいとして使用されてきたのである.久々子の浜堤砂丘の西方に標高およそ80m の飯切山がある.この山の西側には久々子湖が,東側には若狭湾が広がっている.飯切山は黒雲母花崗岩で形成されている.若狭湾側の海岸は,一部は白砂浜があるが,ほとんどは花崗岩の波食台が発達している.この海岸線に沿って久々子から早瀬に向かうと,現在の海岸線からおよそ2 〜2.5m の高さに旧汀線が所々に残り,この高さに洞穴が密集している.この海食洞は,縄文海進(数1,000 年前)の侵食によって出現したものであり,当時の海水準面の位置を物語っている.洞穴は,過去の様々な地球的現象の証拠を残したり,この地域の地質を始めとする自然の特性を記録している.洞穴の80 %は断層や節理に関連している.最も大きい洞窟は,三方断層(あるいはそれに関係する断層)に伴う破砕帯が掘り出さたと思われる洞穴である.洞穴の側面には断層運動による鏡肌が見られ,小断層面には,緑色化した変質鉱物が浮き出ており,花崗岩も著しく変質されている.洞窟の奥行きもこの断層面に沿って延び,先端には崩壊した破砕岩が続いている.節理面を侵食した洞穴の入り口は三角形の形をとり,洞門が円弧の形式を取らないなど,断層や地質などの地質学的性格との関わりが大きく影響している. | ||
保護の現状 と留意点 |
これらの洞穴群は,この地域の自然現象や先住民の生活史の解明に大きな役割を果たす重要なものである.活断層の三方断層や五湖との関連など地帯構造の上からも,重要な役割をもつ地域でもある.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |