福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 気比の松原
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:松原(833,834,865,866)
選定理由 地形形成史から見て典型的な地形
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  敦賀湾の湾頭に沿って,ほぼ東西に浜堤が発達している.これを「気比の松原」とよんでいる.気比の松原は長さ約3 q,幅約0.5 〜0.8 qで,笙の川左岸では2 〜3 列の浜堤からなっている.砂層の厚さは,場所によって違うが,平均2.5m あり,特に現在の気比の松原公園付近で厚い.桜町付近のボ−リング資料では,厚さ2 ないし5m の砂礫層の下はシルト層(層厚約13m )となっている.この浜堤は,冬の季節風によって浅海底の砂が捲き上げられて形成された.ここに松が植えられ,いわゆる松原海岸となった.林の前面の海岸は緩斜面をなし,林には2 〜3 列の海岸線にやや並行に波動する浜堤列が存在して,その標高は4 〜5m である.この浜堤砂は敦賀平野の前面の三角州性低地の上部に広く分布し,上面の波動は,堆積後に風の移動によって造られたもので,藤(1969 )は特に浜堤状砂丘と称している.白砂海岸の気比の松原は,花崗岩の風化による石英粒が分布する砂浜海岸で,日本三大松原の一つとされている名勝地である.海岸線は内側に湾曲の美しい弧を描いて,海岸線の後方に黒松の美しい林が存在している.海岸,松林共にその表層は石英の粗粒砂で被覆され,その層厚は数m である.しかし,港湾の拡張によってその規模は著しく狭めらている.浜堤砂の下位には内湾性浅海の泥層が存在し,この泥層は縄文時代前期までに堆積したものであり,一方,浜堤砂は縄文時代中期以降の海退期に形成されたもので,砂層中からは弥生時代の土器が産出している.
保護の現状
 と留意点
 若狭湾国定公園第1 種特別地域及び史跡に指定されている.過去には,海岸線にそって自噴水が並び,女性的な砂浜海岸線が西方の井の口川から,笙の川の両河口を経て運河まで広がり,その後方には松の美林が存在していた.これらの地形が昭和の後期から急速に改変されて港湾が拡張され今日に至っている.残存する自然は小規模ながら喘ぐように生きているように見え,周囲の都市化の波におされている.日本三大松原の一つとして,未来への遺産として大切に保護の対策をしなければならない.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)