福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 池田町皿尾の皿尾層とその植物化石群
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
池田町:皿尾(388)
選定理由 古生物学的に重要な地点,その他地質学的に貴重な地点
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  足羽(累)層は,凝灰岩,礫岩,砂岩,頁岩,ないし砂岩頁岩互層からなる堆積層で,県内に広く分布する.池田町志津原の足羽川河床を模式地とする足羽層に属する地層と南条山地のジュラ紀層および西谷流紋岩とが近接している地域であり,特に足羽層(白亜紀)の模式地となっている.この地域の足羽層は皿尾層と名付けられている.志津原地域において良好な露頭は足羽川の両岸に限られている.そこでは,比較的きれいな成層をなして砂岩や頁岩が発達するが,志津原の上流側には流紋岩質凝灰岩も露出している.この凝灰岩の新鮮な部分は紫色を,風化すると,白色を呈する.南条山地のジュラ紀層は汚い頁岩を主体とする砕屑岩相である.足羽層は,形成時代が白亜紀後期と比較的新しいこと,あまり変成・変形を受けていないなどの理由により,保存の良い多数の植物化石を産出する.そして,その化石は足羽植物群と総称されている.皿尾層からは,土合皿尾の北方,三差路付近の露頭から保存の良い,重要な植物化石を多数産出し,足羽層の時代決定のみならず,古環境や形成過程を考察する上で重要な手がかりとなった.下流側の砂岩・頁岩からなる皿尾層にはハスの葉等の植物化石が数多く産出するので有名である.学名をNelumbium orientalis Matsuo というハスの化石は,他地域からの産出の報告がなく,希少価値があると考えられる.このように,皿尾付近の足羽植物群化石は地質学的にも,古生物学的にも重要な化石であると言えよう.
保護の現状
 と留意点
 現在は,人の手が加えられることなく,雑草が生い茂っている状態である.足羽川の岸辺(渓谷)に遊歩道が整備されている.現状のまま維持することが望まれる.


 (図上のNO.60ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)