福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
地形地質
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名   称 和泉村の伊月頁岩層および化石群
学   名
分 類 1 地形地質
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
和泉村:伊月(82)
選定理由 古生物学的に重要な地点,その他地質学的に貴重な地点
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  北陸一帯に分布する中生代手取層群からは恐竜を始めとした脊椎動物化石,貝化石,植物化石等多数発見されている.九頭竜川上流地域の手取層群は九頭竜亜層群,石徹白亜層群,赤岩亜層群に分類され,いずれも頁岩・砂岩・礫岩などの砕屑岩類からなる.伊月頁岩層は手取層群石徹白亜層群に含まれる.石徹白亜層群は,下位より山原礫岩層・葦谷砂岩頁岩互層・大淵礫岩層・伊月頁岩層に分類される.伊月頁岩層を構成する岩石は,含雲母黒色頁岩が主であるが,部分的には薄い礫岩や砂岩を挟むところもある.砂岩は著しくアルコース質である.本層の厚さは,石徹白川流域の模式地で約50m ,その他の地域で200 〜250m である.伊月頁岩層を含む石徹白亜層群は石徹白川下流部を模式地とし,おもに淡水〜汽水性の地層からなり,多くのシダ・ソテツ類などの植物化石,およびシジミ・カキなどの貝化石を産出する.また恐竜をはじめとする足印化石も知られている.石徹白亜層群の化石産地としては和泉村伊月の伊月頁岩層が広く露出する通称『化石壁』が有名である.化石壁では,シジミをはじめとする二枚貝の化石,植物化石が多産する.特にシジミ貝類の化石は,大きなものや保存の良いものが多産する.本層は,停滞した半かん半淡水湖に堆積したと考えられている.ここでは獣脚亜目のItsukisauropus isumiensis や鳥脚亜目の足印化石のほか,巻貝,シジミの産出が報告されている.また伊月の北西約3 qの朝日前坂においても足印化石が発見されている.
保護の現状
 と留意点
 伊月の化石壁は採取できる化石の多さだけでなく,恐竜の足印化石などの日本において希にしか産出しない化石も知られており,地質学的に見て重要な地点である.また現在でも多くの化石が容易に採取可能であり,訪れる人も少なくない.今後,化石露頭の保全が必要である.なお,現在和泉村での化石採取は条例により禁止されており,採取には和泉村教育委員会の特別の許可が必要となっている.


 (図上のNO.31ポイント)


(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)