福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥獣の重要な生息地
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 刈安山
学   名
分 類 1 鳥獣の重要な生息地
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
あわら市(旧金津町):(394)
選定理由 渡り鳥の渡来地または中継地、猛禽類の多様な地域
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  日本におけるタカ類の渡りは,主に秋期のハチクマとサシバおよびアカハラダカについて明らかになっている.ハチクマについては,長野県白樺峠,岐阜県金華山,関ヶ原,岡山県書写山,広島県極楽寺山,北九州,長崎県五島列島が渡りの主要なルートであり,琵琶湖湖西にもルートがある.サシバについては,愛知県伊良湖岬,愛媛県高茂岬,鹿児島県佐多岬,南西諸島のルートと長野県白樺峠,金華山,関ヶ原のルートがある.また,アカハラダカの渡りのルートは,長崎県,鹿児島県金峰山,南西諸島である.本県の嶺南地方において,ハチクマは5 月中旬に北上し9 月下旬に南下し,サシバは9 月下旬から10 月初旬に,ノスリは10 月下旬に,それぞれまとまって南下している.ただし,その年の天候などによって時期の変動はある.本県では,上記3 種のほかにミサゴ,ハイタカ,ツミ,チゴハヤブサなどの渡りが少数であるが観察されている.秋期,嶺北地方においては,刈安山付近を通過したハチクマとサシバの群れが,その後,主に福井平野東部の山地を,一部は福井平野西部の山地を飛行することがわかっている.しかし,丹南地区から南の飛行コースはまだ不明である.また,和泉村周辺でもハチクマの渡りが観察されているが,コースについてはほとんどわかっていない.嶺南地方においては,美浜町の御岳および小浜市奥本保付近を多く通過するが,海岸沿いから内陸部まで幅広く広がって南下している.また,敦賀市東部を通過する群れは滋賀県に向かって飛行する.中でも刈安山は,本県におけるタカ類の最も大きな中継地であり,多い日で計6 種約400 羽のタカ類の渡りが観察されている.ここでは,サシバの個体数の割合が大きく,富山県から石川県を通過した群れが本県に進入してくる地点である.
保護の現状
 と留意点
 現在,本山およびその周辺では,「鳥獣保護法」により狩猟が規制されている.渡りを行なう鳥類の保護には,繁殖地と越冬地だけでなく,その途中の中継地の環境を保全することも大切である.本山とその周辺も含め,多くのタカ類が利用する地域では,ねぐらや休息場所となる森林を保全するなどの対策が考えられる.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)