福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
鳥  類
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名   称 クロサギ
学   名 Egretta sacra
分 類 1 鳥類
分 類 2 コウノトリ目サギ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
特定せず
選定理由 保護上重要な種・亜種
区   分 B(県レベルで重要なもの)
  • 鳥獣保護法      :非狩猟鳥類
解   説  種としては,太平洋の西部,つまり北は日本から南はオーストラリア,ニュージーランドまで,西はミャンマーから東は西サモアまで広く分布する.また,日本では,本亜種が北は太平洋側の宮城県,日本海側の秋田県から南は沖縄県西表島まで分布している.各地に留鳥として周年,観察され,渡りや大きな移動は確認されていない.羽色に黒色型と白色型の二型が存在し,九州以北では黒色型のみだが,鹿児島県奄美大島以南では白色型と黒色型の両方がいる.
 本県でも黒色型の個体が分布しているが,多くはない.越前海岸,三国町の雄島,美浜町の丹生の浦海岸では繁殖が確認されている.主に岩場の多い海岸やテトラポットのある漁港内で見られることが多い.干潟や砂浜,海に近い水田にいることもあるが,海岸を遠く離れることはない.群れを作るほかのサギ類と違って,単独またはつがいで生活している.繁殖期は4 月中旬から6 月中旬で,小島嶼,海岸などの樹木の上や岩壁の棚の上に営巣する.主に魚類,カニ類,貝類やゴカイ類を採食する.
保護の現状
 と留意点
 現在,「鳥獣保護法」により本亜種の捕獲,飼養,譲渡などが規制されている.
 本県において,本亜種の生息密度はもともと低い.しかし,繁殖状況や生息個体数などの情報はまだ少ないので詳細な調査が求められる.海岸環境の悪化などによって個体数が減少する可能性がある.1997 年のナホトカ号による重油流出事故で,下腹部に被害を受けた個体を消波ブロック上で数例確認したが,保護または死亡回収された例はなかった.このように海洋も含む化学汚染や油汚染などの事故は致命的であり,生息地である岩場のある海岸の環境を保全していくことが大切である.

(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

出典「福井県レッドデータブック(動物編)」(2002年3月 福井県福祉環境部自然保護課発行)