福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 大野市平家平
学   名
分 類 1 昆虫類
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:平家平(268)
選定理由 生物学的な多様性(種数)を保持している自然
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  平家平は,姥ケ岳(1,454m )と倉の又山(1,216m )の鞍部から北方に広がる,標高1,000m 〜1,200m の比較的緩やかな地形で,平家落人の伝説があり昔からよく知られた山地である.現在は二次林ではあるが立派なブナ林があり,下草にオウレンが栽培されている.周囲の谷間にはミズバショウの群落が見られ,中央付近には樹齢400 年以上の「大トチノキ」が生えていて,アウトドアレジャー地として脚光を浴び始めたところである.平家平の植生は,従来の日本海側要素の中に,岐阜県境に近いところから太平洋側要素が入り込んでいる.動物においても同様で,昆虫相は複雑かつ豊富である.ブナ林に依存する昆虫や平坦な山地地形に適応する昆虫なども多く,県内でも独自の昆虫相が見られる地域である.1997 年に行ったわずか3 回のライト採集で,約350 種のチョウ目が確認された.中にはムジチャヒラタマルハキバガ,ミドリヒメハマキなど県初記録のものが11 種も含まれている.カワゲラ目ではアサカワオナシカワゲラ,カラフトオナシカワゲラ,コウチュウ目ではホソヒメクロオサムシ,ヒメビロードカミキリなど,福井県では珍しい種が50 種以上も採集されている.ハチ目も豊富で,有剣蜂類だけでも240 種に及んでいる.フタツバトゲセイボウ,クロヤドリベッコウ,ハネダギングチ,ニッコウツヤアナバチなどの希少種が生息していることも注目に値する.
保護の現状
 と留意点
 1996 年に大野市はブナ林一帯を民間から買い上げ,その保護対策に積極的に取り組み始めた.林道への車の乗り入れを規制し,山林の下草刈りを行い,パトロール員を配置するなど,ブナ林の維持管理に努めている.しかし,アウトドアレジャーの普及から多くのハイカーが入り込み,山菜を根こそぎ採ったり,ゴミを捨てたまま帰るなど,トラブルも生じている.人と自然との共生を考えるモデル地区として,衆知をあつめて管理したいものである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)