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名 称 |
九頭竜川中〜下流域河川敷 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
三国町,坂井町,春江町,丸岡町,松岡町,福井市:(435,436,471,472,510,511,549,550,586,587,621,622,653,654,655:656,657,658,659,695,696,697) | ||
選定理由 |
生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
九頭竜川は,和泉村の岐阜県境あたりに源を発し,大野盆地,勝山盆地を流れて松岡町で福井平野に入り,さらに坂井平野を下って三国町の日本海に注ぐ,全長およそ116km の一級河川である.このうち,福井平野,坂井平野を流れる中下流域では広い河原が各所に発達し,そこには,柳の林,ツルヨシ群落,ススキ草原,ノイバラ群落,セイタカアワダチソウ群落など,様々な植物群落が生育して,多くの昆虫類の生息の場となっている.昆虫相の特徴としては,シロタニガワカゲロウ,カミムラカワゲラ,ヒゲナガカワトビケラ,ハグロトンボ,中小形のゲンゴロウやガムシの類など,幼虫が水の中で育つ種が多く入ってくるが,陸生の昆虫相にも顕著な特徴が見られる.かつて,我々の身近なところに普通に生息していたにもかかわらず,開発や農薬使用によってほとんど姿を消し,今では生息場所を河川敷に大きく依存するようになった昆虫は多いが,キリギリス,スズムシ,ナキイナゴなどのバッタ目昆虫は,その代表的なものであろう.他にも草原性の昆虫には河川敷を主要な生息場所とするものは多く,ウスバカマキリ,イチモンジカメムシ,ハッカハムシ,ジャコウアゲハ,クロバネツリアブ,オオマキバガガンボなど,枚挙にいとまがない.もちろん河川敷特有の植生や土壌環境に適応した種が多いのは当然で,そのような種としては,コウスバカゲロウ,オオクロカメムシ,アイヌハンミョウ,セアカオサムシ,ジュウサンホシテントウ,ヤナギハムシ,ハイイロボクトウ,オオモンツチバチ,モンベッコウ,コムカシハナバチなどを挙げることができる.九頭竜川中〜下流域の河川敷は,そこに特有の種ばかりでなく,人里周辺の棲み場所を追われた多くの昆虫たちにとっても,個体群を維持してゆくための重要な生息の場となっているのである. | ||
保護の現状 と留意点 |
近年,各地で,河川敷を開発しようという動きが盛んになり,公園,運動場,道路などが作られるようになった.例えば,かつては,多くの貴重な昆虫の生息地であった松岡町の鳴鹿堰堤より下流約3km にわたって広がっていたヤナギ類の疎林は,その2/3 ほどが失われ,公園化された.貴重な河川敷の自然環境を消失することのないよう,河川敷の整備には十分な配慮が必要である. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |