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名 称 |
福井市深谷 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
福井市:深谷(660,661) | ||
選定理由 |
生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
丹生山地北東部に刻まれた広い谷と,それを取り囲む標高250m 前後の山々からなる福井市深谷地区は,ごくありふれた山里の一つに過ぎないが,杉の植林地の間にはコナラ,クヌギ,ケヤキ,イヌシデなどが優占する二次林が各所に残され,生息する昆虫の種類も多い.昆虫相は,低山地広葉樹林域に典型的なもので,ハラビロカマキリ,ミカドフキバッタ,マヤサンオサムシ,ミヤマクワガタ,ミンミンゼミ,ミヤマカラスアゲハ,オオユウレイガガンボ,クロアナバチ,スズメバチなどが普通に見られるが,尾根筋のアカマツ林にはエゾゼミが生息し,8 月中下旬には,独特の大きな声を聞くことができる.深谷の昆虫相で特徴的なのは,渓流周辺に棲む古いタイプの昆虫類が多様なことであろう.主な種を列挙してみると,ムカシトンボ,ムカシヤンマ,ヒメフタオカゲロウ,クロタニガワカゲロウ,セッケイカワゲラ,キベリトウゴウカワゲラ,トワダナガレトビケラ,ヨツメトビケラ,オオバヒメアミカといった名があがってくるが,もちろんこれらは,ほんの一部の種に過ぎない.深谷の昆虫の中には福井県が分布北限に近いと思われる種もある.ナワカワトンボ,ヤマクダマキモドキ,ムナグロショウジョウバエ,テガタキノコショウジョウバエなどがそのような種である.また,比較的希少と考えられる種には,ヒメクロサナエ,シロフツヤトビケラ,ヤスマツトビナナフシ,ラクダムシ,オオムラサキ,ヒメハスオビガガンボ,シコクキノコショウジョウバエなどがある.なお,1998 年2 月には,新種と考えられるクモガタガガンボの一種が,雪上で発見されたことを付け加えておかなければならない | ||
保護の現状 と留意点 |
比較的良く多様性の残された深谷の自然ではあるが,毎年のように道路や河川の工事が繰り返され,その度に,良好な自然環境は減少している.数年前までは,ベッコウバチやバッタの類が巣造り産卵のために穴を掘り,アゲハチョウの群が吸水をした土の道は,今ではそのほとんど全域がコンクリートやアスファルトで覆われてしまったし,小さいながらも滝あり岩ありの渓流は,上流に向かって徐々にコンクリートで固められつつある.また最近では,新しい自動車道路建設に伴って,渓流の一部分で,大半の水生生物の生存を不可能にするようなコンクリート三面張りの工事が行われている.土木工事に当たっては,生物多様性の保全のための十分な配慮を行う必要がある. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |