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名 称 |
和泉村石徹白川流域のハチ類 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
和泉村:小谷洞(45),三面(63),朝日前坂(63,81),角野前坂(63,82) | ||
選定理由 |
生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
石徹白川は,標高1,910m の銚子ケ峰を源にして石徹白を流れ下り,小谷堂,三面,朝日,角野前坂を経て和泉村の朝日に至る美しい渓流である.石徹白川水系の分水嶺は丸山,銚子ケ峰,願教寺山,よも太郎山,野伏ケ岳など海抜高度1,700m 前後の山稜からなる.また,和泉村に下ると俵谷,三面谷,智奈洞谷を集め九頭竜川に流れ込む.渓流沿いの集落は過疎化が進んでいるものの,かやぶきの民家やその周囲の薪積は,蜂類や甲虫に格好の営巣場所を提供している.奥越地方は,地理的に昆虫の豊富なことで世界に知られる白山系の一部に属する.また日本列島のほぼ中央部にあり,動植物の分布では北方及び南方系が重なりあい,生物相の北限や南限に当たっており大変興味深い.渓流沿いには,ミズナラ,クルミ,ヤナギやササが茂り,これらの植物についたアブラムシが落とす甘露には多種多様の蜂類が集まる.前坂谷をはじめとする渓流沿いにはネムノキやヤナギが多く,ここにエゾカギバラバチが産卵に飛来する姿は圧巻である.角野前坂のクルミ林の下草ではキスジセアカ,ザウターカギバラバチが生息する.三面のクルミ林の下のササには,アブラムシの甘露を求めて,タナカ(福井県初記録),ニッコウ,オタネ,ガロア,カゲロウギングチ,コイケアワフキバチ,サッポロジガバチモドキなどの希種が集まる.1995 年には,朝日,角野前坂の民家や薪積みで,数年に1 頭しか採れない大珍品でしかも美麗種のフタツバギングチが大発生した.本流域は,他に類を見ない日本トップクラスの「蜂の宝庫」である. | ||
保護の現状 と留意点 |
石徹白川流域には,今もミズナラやクルミをはじめとする落葉広葉樹におおわれた豊かな自然が点在し,ハチの種類数は群をぬいている.しかし,過疎化のため人家に営巣するハチ類は絶滅の危機に直面しており,一方人里を離れて落葉広葉樹林に生息するハチ類も,森林の伐採で次第に生息地を狭められている.以前は今ほど林道や護岸工事も行われず,豊かな雑木林があり,かやぶきの民家も多く,人間とハチの共存ができた.近年の拡大造林に伴う林道整備や砂防堰堤の新設により豊かな動植物相が姿を消しつつある.豊かな生態系を保つためには,これ以上のスギの植林を見直し,水源地用に現存する落葉広葉樹,特に流域沿岸のクルミ林やヤナギを保存することが必要である. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |