福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 大野市打波川流域のハチ類
学   名
分 類 1 昆虫類
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:三ノ峰・六本檜(23,37),小池(38,55,56),鳩ヶ湯・赤兎山(57,75,76,93,94),上打波・中洞(77,95,96,97),嵐(116,117,118,119),下打波・谷山(79,97,98,99,120)
選定理由 生物学的な多様性(種数)を保持している自然
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  打波川流域は,白山国立公園の南端に位置し,県内で最も高い三ノ峰,願教寺山,赤兎山など,海抜2,000m に近い亜高山帯の山々に囲まれた山峡の地である.豊かな山林植生に恵まれた上,かつては,小池,中洞,木野,嵐,下打波の集落や,山中の各地に点在する出作り小屋はほとんどが茅葺きの家屋であり,周囲には燃料用の薪積みがたくさん置いてあって,多くの昆虫(特にコウチュウ,ハチ類)が住んでいた.福井県で最も昆虫相の豊かなところであり,特に有剣蜂類については,「蜂の宝庫」として世界的に知れ渡った地域である.県境の三ノ峰,六本桧ではタイセツギングチ,アギトギングチ,ナガマルハナバチなどの北方系,高山性のものが見られ,小池地区にはコイケアワフキバチ,コイケギングチ,鳩ヶ湯付近及び赤兎山登山道にはウスキギングチ,オタネギングチ,フクイカギバラバチ,上打波(中洞)地区にはシモヤマギングチ,キユビギングチ,フタツバギングチ,嵐地区にはツネキアリバチモドキ,アラシキマダラハナバチ,下打波(谷山)地区にはハネダギングチ,デヅクリエナシエンモンなどの希少種を始め,多数の蜂類が生息している.本県から新種として記載された有剣蜂類は約100 種あるが,その中の半数は,基準標本の産地が打波川流域であり,学術上大変貴重な地域である.
保護の現状
 と留意点
 福井県を代表する昆虫相の豊富なこの地域も,近年は過疎化と自然災害による風化が進み,旧年の面影がなくなりつつある.集落の人家も出作り小屋も過疎化のためほとんどなくなり,わずかに残ったものもトタン葺きに変わり,薪積みも見られなくなった.加えて森林伐採や林道整備によって,豊かな森林が破壊されようとしている.全国的にも全世界的にも注目を集めているこの地域の豊かな生物相を,いつまでも後世に残すために,調和のある環境保全を強力に進める必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)