福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 キユビギングチ
学   名 Towada flavitarsus (Tsuneki)
分 類 1 昆虫類
分 類 2 ハチ目ギングチバチ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
松岡町:吉野(439),大野市:赤兎山(75),鳩ヶ湯(76),中洞(96),和泉村:小谷堂(45),三面(63),越前町(旧越前町):城山(883),名田庄村:挙野(1052),虫谷(1067),尼来谷(1145)
選定理由 希少種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  ニトベギングチの生息地ヒメギングチバチ類は全体が黒っぽい種類が多い中で,本種は前胸,小盾板と脚を黄色で装っているおしゃれな,5mm たらずの美麗種である.また,本種は営巣習性でも際だっている.それは,巣穴の閉鎖に本種だけがスギの樹脂を使うからである.北海道,青森,栃木,埼玉,福井と広島から記録があるが,各地ともまれで採集個体数は少ない.1985 年ごろまでは、県内での分布は大野市と和泉村に限られ,クリについたアブラムシの甘露が落ちる下草など、採集場所も限られていた.県内での調査が進むにつれて,大幅に分布を広げていった.奥越地方以外に,松岡町の吉野ヶ岳,越前町の城山に広がり,さらに,嶺南地方では未発見であったが,名田庄村の挙原,虫谷,尼来谷,虫鹿野まで記録を伸ばした.発生時期は,手元の記録も含めると5 月下旬から9 月中旬で,枯木や薪積みの甲虫孔に営巣し,落葉広葉樹林の中の小径を微風に乗り活動している.
保護の現状
 と留意点
 前回の調査では,分布地が大野市や和泉村の山間部に片寄っていたので,本種はやや高地性の蜂と思われた.今回の調査では,むしろ低山帯に広く生息していることがわかった.また,本種は,Towada 属であるが,形態的には南方に生息し,数が少なく生態不明のPiyumoides 属に似ている貴重な種である.名田庄村の各地に広く生息しているのは,谷沿いの道幅が狭く,両側に雑木林が残っており,車の通行が少ないことがあげられる.しかし,地域によっては広い舗装道路になり,道沿いの植物層が一変してしまった所も多くなり,そこには銀口蜂は全く見られない.銀口蜂の多くは枯木に営巣し,双翅目を幼虫の餌にするものが多い.従って,これらの種の保護対策としては,まず雑木林と立枯木の確保を基本とすべきである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)