福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 ザウターカギバラバチ
学   名 Taeniogonalos sauteri Bischoff
分 類 1 昆虫類
分 類 2 ハチ目カギバラバチ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
美山町:赤谷(410),大野市:嵐(117),嵐口(119),谷山(120),和泉村:朝日前坂(63)
選定理由 希少種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  カギバラバチ科の生活史は非常に複雑で不明な点が多い.この蜂はヤナギやネムなどの葉に多数の卵を産みつける.この卵が葉を食べる鱗翅類の幼虫の体内に入る.その幼虫がスズメバチ科のハチに捕まえられ,肉団子にされてスズメバチの幼虫の餌として与えられる.そして,カギバラバチの幼虫はスズメバチの幼虫の体の中で成長する.このように複雑な生活をたどるため,個体数は極めて少ない.本種は体長8 〜11 o,体に褐色のまだら模様を持つ美麗種で,本州,九州,琉球,台湾に分布している.アリマキのついたクルミやナシの木の葉に甘露を求めて飛来するが,詳しい生息場所は不明である.本県では,和泉村,大野市,美山町で9 月の中旬から10 月の中旬にかけて採集されている.県内で確認された個体数は10 匹たらずで,カギバラバチ科の中でも極めて珍しい種である.
保護の現状
 と留意点
 15 〜25 年前に生息確認された大野市嵐や嵐口,和泉村朝日前坂では,今回の調査で再確認することは出来なかった.その原因として,過疎化が進み民家が倒壊したため,寄主であるスズメバチの営巣場所が狭められたことや,除草剤・農薬の空中散布などが考えられる.本種は,特に,石徹白川流域の自然林の中に生息している.本流域はタケウチギングチ,タナカギングチ,フタツバギングチの多産地で,膜翅目の宝庫である.そのため,既存の自然環境を保全する必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)