福井県みどりのデータバンク |
すぐれた自然データベース |
|
[先頭ページ]
[前のページ]
[次のページ]
|
名 称
|
シャープゲンゴロウモドキ
|
学 名
|
Dytiscus sharpi Wehncke
|
分 類 1
|
昆虫類
|
分 類 2
|
コウチュウ目ゲンゴロウ科
|
位 置 (2kmメッシュ番号)
|
−
|
選定理由
|
希少種
|
区 分
|
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
|
解 説
|
体長28〜33mm,胸部背面と鞘翅の地色は緑色をおびた茶褐色で,外縁は黄色帯で縁とられる.本州に2 亜種が分布するが,♂での両亜種の区別は困難である.福井県に生息するものは新潟県−愛知県以南に分布する亜種ssp.validus とされ,♀の鞘翅に深い縦溝がある.全国的に大型の水生昆虫類は著しく減少しているが,福井県では原色福井県昆虫図譜の記録以外は小浜市遠敷からの不確実な記録があるだけで,久しく再確認されず絶滅が危惧されてきた(井崎,1956 ;下野谷,1993 ).ところが1993 年に県内での生息が確認された.見つかった生息地は周りを林に囲まれた湧き水のある池で,これまでに3 ケ所確認している.成虫はほぼ年中見られ,新成虫が羽化する8 月下旬から9 月には個体数が増加する.成虫は夜間活動するが,昼間は池の水際に近いところの水草の根元に静止していることが多く,水中での動きは敏捷で,僅かな振動でも素早く水底の落葉など物かげに逃げ去る.
|
保護の現状 と留意点
|
新しい生息地が確認されたあと,現在まで積極的な保護策はとられていない.確認された3 ケ所の生息地は,その後,1 ケ所は宅地造成の目的で周りが埋め立てられ,池の一部は残されているものの水質が著しく汚濁し,また,夏には完全に干上がるなど生息環境が悪化し,その後の数度の調査でも全く確認できず絶滅した可能性が高い.さらに,もう1 ケ所については宅地造成工事が池の真近にまで及んでおり,ここも危険な状況にある.残る1 ケ所についても決して安心できるとは言えず,このまま保護策が講じられなければ,早晩生息地が消滅する可能性が高い.現在残されている2 ケ所については,池だけでなく周囲の環境を含めた保全,保護策を直に進める必要がある.さらに生息状況の調査も重要である.
|