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名 称 |
セアカオサムシ | ||
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学 名 |
Hemicarabus tuberculosus (Dejean et Boisduval) | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
コウチュウ目オサムシ科 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
福井市:舟橋(550),武生市:”味真野村”(562),池泉(562),南越前町(旧南条町):鋳物師(638) | ||
選定理由 |
希少種 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
体長約20mm 前後,小柄で美麗なオサムシ.全体黒色,前胸は鈍い赤褐色で,鞘翅は細く金色に縁取られる.脚と触角は他のオサムシ類と比較して太く短め,鞘翅に大きな顆粒の列を持つ.北海道から九州までに分布し,一般的には少ない.北海道産は他地産とやや形質が異なる.生息環境は河原,雑木林,高原と幅広く,どうやら広く分布するが,局所的に集中する性質を持っているらしい.後翅が無く,飛べない筈だが,燈火にも来る.本県では福井市や武生市等の嶺北地方の坂井平野及び武生盆地に分布が確認されている.武生市の産地は古い記録で,近年の記録は無く,再記録が切望されていたが,福井市内の九頭竜川の河川敷で再確認された(斎藤,1981 ).その後,未発表資料として,舟橋を中心とした河川敷に沿って,分布域が広がっていることが確認されている.南条町では,生息状況は不明だが,やはり河川敷で1 頭が採集された.以上のように,本県では特に坂井平野の九頭竜川河川敷に集中的に生息しており,個体数も少なくなく,動物相の主要な構成種であるらしい.活動期は越冬期と夏期を除き長い.北海道以外のオサムシとしては色彩や彫刻が美しく,一般には少ないため,珍種として貴重される.採集圧による個体減少にも配慮したい. | ||
保護の現状 と留意点 |
みどりのデータバンク調査では,福井市,武生市で確認されており(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 ),福井市舟橋以外は古い記録である.今回の調査では南条町から記録され,最近の記録としては非常に重要な追加産地である.九頭竜川をはじめとした河川敷は,従来,一見単純な植生ゆえ,昆虫の分布調査は軽視されて来た.しかし,最近,徐々に河川敷の特異な昆虫相が明らかにされつつある.近年,福井市郊外をはじめ,河川敷は公園的な整備が進められている.その結果,自然草地はなくなり,ヤナギ類等の木が伐採されてしまった.人にとっては利用価値が高くなるが自然環境への影響は大きい.多様な生物相を有する河川敷を改変するような開発が真に必要なのか,十分に検討し,環境保全に努めることが必要である. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |