福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 ハクサンクロナガオサムシ
学   名 Leptocarabus arboreus hakusanus (Nakane)
分 類 1 昆虫類
分 類 2 コウチュウ目オサムシ科
位   置
(2kmメッシュ番号)
大野市:三ノ峰(23)
選定理由 分布限界種
区   分 A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの)
解   説  体長約20mm 前後,中形の細長いオサムシ.全体黒色,分布域には近縁のクロナガオサムシがいるが,小形で,鞘翅の隆起鎖線はより明瞭.ホソヒメクロオサムシにも類似するが,後種は鞘翅が短く,分布域は本亜種の南部になる.白山々塊特産.本亜種はコクロナガオサムシの1 亜種で,種としては北海道と本州中部以北及び紀伊半島に分布し,各山塊ごとに亜種が設定されている.寒冷樹林帯以北に生息し,石下や藪下等で見られ,高標高の車道があれば側溝に落ちていることがある.少なくはないが,ベイトトラップ以外では偶然に拾える程度である.本県では大野市三ノ峰から記録されている.オサムシ類は一般に初夏と秋に成虫が出現し,夏期には幼期に入るというサイクルを持っており,本亜種もこの範疇に入る.三ノ峰は白山々塊において最も南西部に当ると同時に,白山国立公園特別地域の最南西部にもなる.よって本県は本亜種の西限になる.秋は個体数は少なくない.
保護の現状
 と留意点
 みどりのデータバンク調査(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1985 )及び今回の調査とも,大野市三ノ峰から記録されている.厳密には剣ヶ岩より上部に分布する.三ノ峰は加賀白山山塊の西南部に当たり,剣ヶ岩上部は亜高山帯である.当地は,中部山岳地帯と共通の昆虫が多数種知られており,それらの幾つかは本県が西限に当たっている.現状は白山国立公園特別保護地区の指定を受けているので,大規模な開発は考えられない.しかし,ゴミや本来存在しない植物の種子等登山者による持ち込みの影響は常に受けており,それらによる環境変化は無視出来ない.ゴミの持ち帰り運動などの入山の心得の一層の強化が望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)