福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
昆 虫 類
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名   称 小浜市岡津、加戸、荒木のトンボ類
学   名
分 類 1 昆虫類
分 類 2
位   置
(2kmメッシュ番号)
小浜市:岡津(1097,1098),加斗(1086,1098),荒木(1085,1086)
選定理由 生物学的な多様性(種数)を保持している自然
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  小浜湾の一角を形成する小浜市の西部地域にあたる加斗海岸と蒼島には,タブ,スダジイ,ヤブツバキ,モチノキ等の,暖地性植物である常緑広葉樹が生育している.この地域は,飯盛山を源とする飯盛川,木所川が流れる水田地帯でもある.アオスジアゲハ,オオゴキブリ等の,暖地性の特色を示す昆虫が多い.飯盛川,木所川の水質が比較的安定している他,水田および小川の形態が良好に保存されている.フタスジサナエ,タベサナエ,ナニワトンボ,ネアカヨシヤンマ,ハネビロトンボ,オオギンヤンマを含めた33 種類のトンボが,この地域から記録された.フタスジサナエ,ナニワトンボの2 種は,今調査ではこの地域だけで記録された.海岸近くで,河川の上・中流部に生息するミヤマカワトンボの姿をみることができるのも,この地域の特徴といえる.
保護の現状
 と留意点
 水田と周辺の小川の形態が,比較的良好に保全されているものの,近年では休耕田が目立つようになってきた.かつて,水田での稲作が整然と耕作されていた時代には,水生植物の繁茂がみられる泥質の小川や,溝川が流れていた.稲作の生産調整により,休耕田が増加傾向にあるほか,河川の改修などによって,生息地が狭められてきている.現状の河川の水質を良好に維持させるためには,水田および小川の形態を大幅に変えるような整地や土地の改良事業やヘリコプターによる農薬の空中散布は好ましくない.貴重なトンボの個体群の生息環境を保全するためにも,水田環境の改変に当たっては,人間の農業の効率だけではなく,多様な生物との共存を考えていくことが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)