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名 称 |
三方町中山のトンボ類 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
若狭町(旧三方町):気山(中山)(960) | ||
選定理由 |
生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
三方町中山のJR 小浜線の西側に位置する凹地には,耕作を中止したために水生植物が繁茂した湿地,周辺の湿地や水田から流れ込む水が,集まってできた水路や池などにより構成される低湿地帯が存在する.この地域には,水位の違いと耕作を中止した時期により,ハンノキ林や抽水植物群落などの多様な湿地が存在する.かつては,平野部の後背湿地などに普通に存在したこのような低湿地は,すでに県内ではそのほとんどが消滅したことから,当地は敦賀市樫曲の中池見湿地と同様に貴重である.当地に生息する水生生物の多くは,かつては水田地帯において普通種でありながら,近年急激に減少した種である.その中の代表として,オオコオイムシやクロゲンゴロウ,昆虫類ではないがメダカなどが挙げられる.これらの種の嶺南地方の分布は,今や局地化している(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1998 ;福井県自然環境保全調査研究会陸水生物部会,1988 ).当地のトンボ相は,特に貴重である.限られた調査しかできなかったが,今回,自然特性に挙げられた種の内,アオモンイトトンボ,ネアカヨシヤンマ,マルタンヤンマ,ハッチョウトンボ,チョウトンボ,マイコアカネ,ヒメアカネなどが記録されている(福井県自然環境保全調査研究会昆虫部会,1998 ).これらの種の多くは,豊かなトンボ相が存在する環境で記録される種であり,当地の環境の多様性を示すものであろう. | ||
保護の現状 と留意点 |
当地の低湿地の環境は,水田耕作を中止してから急速に遷移が進行している.そのため,開水面が減少し,多様なトンボ相が失われつつある.かつてのように,湿田とその周辺の低湿地が至る所に存在した時代には,遷移の進行による低湿地の消失は問題とはならなかった.しかし,その存在がほとんど失われた今,低湿地の環境を保全し,そこに生息する生物の生息環境を維持することは,自然環境保全上重要である.そのためには,耕作を放棄した後の湿田と低湿地の環境の維持管理を,どのように継続していくかが課題である.さらに周辺の開発が急激に進行していることも,当地の環境を保全する上で脅威である.これまで,このような低湿地は生産性が低く,利用価値のない土地として破壊されてきた.しかし,これからは低湿地の価値を見直し,その保全対策に取り組むことが必要である.そのためには,低湿地の価値を広く普及啓発することが重要である. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |