| |||
| |||
名 称 |
南川流域のトンボ類 | ||
---|---|---|---|
学 名 |
− | ||
分 類 1 |
昆虫類 | ||
分 類 2 |
| ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
名田庄村,小浜市:南川(1102,1103,1114,1115,1126,1136) | ||
選定理由 |
生物学的な多様性(種数)を保持している自然 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
南川は,三国岳を水源とする久田川と虫谷川,頭巾山を水源とする野鹿谷川,奥坂本地区を水源とする坂本川等を支流に持ち名田庄村から小浜市をへて,小浜湾へとそそいでいる.源流部から下流部にいたるまで,比較的水質が良好に保たれているが,中流部から下流部には,ヨシ類の異常生育がみられる.トビケラやカワゲラ等の水生昆虫が,種類・個体数とも多くみられ,特に清流に生息するものが多い.源流部から上流部域には,水質・景観とも安定して良好な状態で保たれている.トンボ類は,グンバイトンボ,アオハダトンボ,ムカシトンボ,ムカシヤンマ,アオサナエ,ヒメサナエ等の貴重な種類を含めて,36 種が記録された.清流域に生息するトンボの種類,個体数ともに多く安定してみられる.グンバイトンボ,アオハダトンボ,アオサナエの個体数が多く,普通にみることができるのは,県内の河川では唯一の地域である. | ||
保護の現状 と留意点 |
比較的安定した水質と景観を保っているものの,中流域から下流部にはヨシ類の繁茂が目立っている.場所によっては,河原全体が覆われている地域もみられる.良好な水質の保全とともに,河原の植生が単一になることや開水面が被われてしまうほどの水生植物の繁茂はさけるべきである.トンボ類の多様性を維持するには流速や植生の多様性が重要であり,洪水の防止により河川敷内の攪乱が少なくなった近年は,人間による攪乱も必要である.ただその際には,生き物にやさしい時期や方法を選ぶことが重要であることから,生き物の専門家の意見を取り入れ計画的に実施していくべきである.グンバイトンボは水生植物がみられるゆるやかな流れの河原や,水のきれいな滞水域に生息するためアシ原化することが,生息域の減少につながる.水質を保全するとともに,アシ原化の防止を行なう必要がある.河原の水生植物の保護は,水生昆虫の多様性を保全するうえで重要である. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |