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名 称 |
武生市上真柄町のトミヨ | ||
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学 名 |
Pugitius sinensis | ||
分 類 1 |
淡水魚類 | ||
分 類 2 |
トゲウオ目トゲウオ科 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
武生市:治佐川(上真柄町・562) | ||
選定理由 |
分布限界種の生息地 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
トミヨはトゲウオ科魚類の1種で,背中に9〜10本のとげをもつ魚である.日本海側では福井県以北,太平洋側では青森県のみに分布し,湧水池や湧水の流れる細流で一生を過ごし,巣を作って卵を産む特異な習性がある. 貴重性:体側の鱗板数は約33枚で,地域により変異がある.現在,本州における分布の南限地として貴重である.特異な習性の他,形態及び地理分布上特異性を有し,地域個体群として貴重である. 分布:福井県ではこれまで鯖江市五郎丸町と武生市上真柄町の湧水池に,トミヨが生息していた.しかし五郎丸町では1950年頃までは確実に生息していたが,それ以降絶滅したと思われ,現在は全く生息していない.一方,上真柄町には1960年までは数ヶ所の湧水池とその湧水の流れる細流に生息していたが,1972年以降,治佐川の一区域(川幅約4b,長さ約70b)のみ生息しているにすぎない. 生態:体長5〜6pに成長して成熟する.3〜7月が繁殖期で雄は体全体が黒青色(婚姻色)になり,水草の茎の泥面から少し離れたところに巣をつくる.雄は巣のまわりになわばりをもち,雌の産卵後卵と仔魚を保護する.餌は幼魚期にユスリカ幼虫,ツツガタケンミジンコなどを食べ,成魚期になるとユスリカ幼虫の他,ヨコエビ,イソコツブムシ,カゲロウ幼虫などを食べる. | ||
保護の現状 と留意点 |
現在,トミヨが生息する治佐川の一区域は,湧水が流れバイカモやミクリが繁殖している.しかし,夏季水がれがおこるので,近くのポンプ揚水場から汲み上げ水を送水し,危機をしのいでいる.この近くに湧水池が2,3ヶ所あるが,やはり夏季水がれをおこし,以前はトミヨが生息していたが,今は全く生息していない.湧水がれによるトミヨの絶滅を防ぐには湧水の確保が第一であるが,安全弁としてもう一ヶ所生息地を確保しておくのがよい.いずれにしても,現在の保護は一時的なもので抜本的対策が必要である.地元には「治佐川とトミヨを守る会」が結成され,町民の保護に対する関心が強く,このような会の活動も大切である.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |