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名 称 |
カンムリケマイマイ | ||
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学 名 |
Aegista(Aegista) kanmuriyamensis | ||
分 類 1 |
陸産・淡水産貝類 | ||
分 類 2 |
柄眼目オナジマイマイ科 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
池田町:冠山(368・343),南越前町(旧今庄町):高倉林道(420) | ||
選定理由 |
分布限界種 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
カンムリケマイマイは,岐阜県との県境にある福井県今立郡池田町冠山峠付近のブナ林帯を模式産地とする.現在までにこの生息地域と隣接する金草山の裾野を走る高倉林道の2ヶ所しか確認されていない.福井県を代表する貴重種である.しかも,生息個体数が極端に少ない. 殻は,この属としては小形で薄く,光沢のある黄褐色から濃い茶褐色.殻高7.5o,殻径8o,螺層 51/2.不規則な白色〜灰色のやや火焔模様がある.螺塔はやや低い円錐形.マヤサンマイマイに酷似するが殻は大きく,ヌノビキケマイマイより体層周縁角が鈍く,更に微毛も散在するが成長すれば脱落する.縫合は深い.殻口は半円ないしは広楕円形,やや斜位.その周縁は薄く僅かに反曲する.臍孔はやや狭く深い.軟体部は薄いあめ色ないしは茶色で黒い斑点があるものからかなり散在する個体まである.兵庫県に生息するマヤサンマイマイに酷似するが,殻が大きいこと,体層周縁がやや角ばっていること,生殖器の副矢嚢が扁平で弧状であることから区別できる. 生息地は標高1000b付近の尾根沿いを中心に,ブナーオオバクロモジーツルリンドウ群落及びブナーウスギヨウラクーチシマサザ群落が優先するブナ極相林に分布し,それらの基礎自然度は極めて高い地域である. 生息が確認できた場所はやや乾燥気味なササが腐葉土化した所であり,乾燥に強い種とも考えられる. | ||
保護の現状 と留意点 |
カンムリケマイマイは,1982年に生息が確認されてから,例年120日〜140日に及ぶ積雪期間を主とする日本海側の特有な多雪地自然環境の影響を著しく受ける今立郡池田町冠山のブナ原生林と,それに続く越美山地の高倉林道でしか生息が確認されていない.山頂,山腹及び峡谷ともに地形が急峻で変化に富み,日本海域要素に太平洋岸要素を含む豊かな植物相の環境に生息する.近年,伐採地とスギ植林帯域が広がり生息環境は著しく縮小されてきている. 残されたブナ自然林の保全と本種の詳細な分布調査と生態の解明並びに観光客や登山者の環境保全意識の高揚を図る必要がある. | ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |