福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 若狭姫神社の照葉樹林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
小浜市:遠敷(1034)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生、学術上貴重な種または個体の生育地
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  若狭姫神社は,JR 東小浜駅に近い小浜市遠敷地区にある.若狭彦神社の下社として養老5年(721 年)に創建され,本殿などの建物も含め,種々の文化財が残されている.本殿近くには千年杉と称される径150cm ほどもあるスギの巨木があり,境内に壮厳さを醸し出している.本殿の後背斜面には,1ha ほどにわたって原生的な様相を呈する常緑広葉樹林が残存している.この社叢林の下部には,タブノキ林(イノデ−タブノキ群集)がやや湿潤な立地のもとに成立し,上部にはスダジイ林(ヤブコウジ−スダジイ群集)が成立している.また,10m 以上に達する樹木には,シダ植物やラン科植物が着生し,この群落の多様性を高めている.本林分で特筆すべきことは,高木層を形成するタブノキやスダジイが,どれも胸高直径80cm を越すような大木であり,更にその林相が約1ha の斜面全域に広がっていることである.その規模は,身近な社叢に残る照葉樹林としては県下最大級といえる.タブノキ林の高木層は,タブノキが優占し,その他にムクノキがわずかに混じる.亜高木層にはヤブツバキ,ヤブニッケイ,スダジイが,林床にはオニカナワラビ,オオバノイノモトソウ,ベニシダ,イノデ,フモトシダなどのシダ植物やヒメアオキなどが生育している.斜面上部のスダジイ林には胸高直径1m ほどもあるカゴノキが見られる.本種は若狭地方を北東限とする暖地性植物で,県下では三方町小川神社の幹周5.34m の個体が最大だが,本林分のものは,それに次ぐ大きさとも思われ貴重である.
保護の現状
 と留意点
 社叢林として比較的良好な状態に保たれている.県の天然記念物に指定されており,今後も人手が加わらないよう十分な配慮が必要であろう.また,高木に着生するラン科植物等については盗掘の恐れもあるため留意が必要である.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)