福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
[先頭ページ] [前のページ] [次のページ]
名   称 多田ヶ岳のアカマツ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 温帯針葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
小浜市:多田ヶ岳(1048,1049)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  多田ヶ岳(712.1m )は,小浜市南東に位置する孤立的山容を持つ山である.山麓部や南側斜面ではかなり植林が進んでいるが,地形が急峻な沢沿いには自然性の高い渓谷林が分布し,小規模な滝も点在している.本山の北側斜面尾根上の標高400m 付近に,老齢巨木からなるアカマツ林が分布している.周辺にもアカマツ林が見られるが,この林分のアカマツは特に見事な枝振りを見せているとともに,樹高は20m 以上に達し,胸高直径が1m 近いものも見られる.その太さから相当な樹齢と考えられるが,生育状況は良好で,近年,県内各地で松枯れが進む中にあって希少な存在である.このアカマツ林の林冠は,植被率40%とやや疎らで,林間は亜高木層の植被率が高く(95%),ヤマザクラ,タカノツメ,イヌシデ,ヤマモミジ,ヤブムラサキ,シラキ,コシアブラ,エゴノキ,ネジキ,ユキグニミツバツツジなどの落葉樹やヒサカキ,サカキ,ヤブツバキ,アセビ,シロダモなどの常緑樹により占められ,林床にはチゴユリ,ヒサカキ,シシガシラ,オオイワカガミ,コウヤボウキ,アオキ,ホツツジ,イヌツゲ,ツルシキミ,ヤブコウジ,イヌガヤなどヤブツバキクラス域の種が多く生育している.福井県から新潟県にいたる日本海側にはユキグニミツバツツジ−アカマツ群集が分布するとされているが,本林分はそれに属するものと思われる.
保護の現状
 と留意点
 この区域は民有地であるため,アカマツが用材として伐採され,ヒノキ植林等に置き換わることも考えられる.将来にわたり現状のまま保存するのは難しいと思われるが,本林分は景観的にも貴重なものであり,必要以上に伐採や植林等が行われないことが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)