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名 称 |
百里ヶ岳のブナ林 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
小浜市:百里ヶ岳(1028) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
小浜市南部の県境脊稜山地に位置する百里ヶ岳(931.3m )は,嶺南地方第2 の高峰である.この付近は海抜600 〜800m の壮年期的山地で,深い河谷を形成している.地質は中・古生層からなり,主として頁岩,緑色岩が分布し,チャ−トを伴っている.この百里ヶ岳山頂付近には,数十ヘクタールにわたり原生的なブナ林が残存している.また,その周辺部はミズナラを含む二次林となっていて,全体に自然度の高い山域が広がっている.また,イヌワシ,ニホンカモシカなどの天然記念物をはじめ,動物相も豊富で県の鳥獣保護区となっている.さらには,北側の山腹にかなりの量のホンシャクナゲがみられ,県の天然記念物にも指定されている.百里ケ岳のブナ林は,このように豊かな自然を支える重要な森林として,近年林野庁から「水源の森100 選」に選定されている.山頂付近のブナ林は,胸高直径80cm 以上のブナの高木も見られ,他に高木層にはミズナラ,イタヤカエデ,アシウスギ,ウリハダカエデなどを含み,亜高木層にはヒナウチワカエデ,ブナ,リョウブ,ハウチワカエデなどを含み,低木層はオオバクロモジ,リョウブ,タンナサワフタギ,ハウチワカエデなどが目立ち,草本層にはチシマザサ,オオバクロモジ,オオカメノキ,シノブカグマ,ヤマソテツ,シシガシラ,ツルシキミ,ウリハダカエデ,イワガラミ,ユキザサなどが主に生育している.日本海要素を多く含み,種類も豊富である.嶺南地方のブナ林は,山地が比較的低標高のために生育範囲が狭く,また早くから伐採が進み,現在は県境付近を中心に山頂や稜線上にわずかに残るのみである.また,県内の南西に位置することから,嶺北地方(北陸地方)のブナ林と中国・山陰地方のブナ林との関係を考える上で重要な地域である.したがって,当地域のブナ林は,多様な動植物種の保存とともに植物社会学的にも重要と思われる. | ||
保護の現状 と留意点 |
山頂付近は,自然更新下におかれ比較的良好に推移しているが,周辺では滋賀県に通ずる林道が建設中で,今後その周辺域での伐採,植林が進む可能性がある.必要以上の植林が行われないような配慮が望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |