福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 烏辺島の照葉樹林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
若狭町(旧三方町):烏辺島(1004)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  烏辺島は,三方町世久見の北西約1.2km 沖に位置する小島である.周囲約1km ,面積約7ha ,高さ95m の無人島である.リアス式海岸に囲まれた湾内に照葉樹の森が静かに浮かぶ光景は,本地域を代表する景観資源となっている.かつて本島では,塩木(製塩の燃料にする薪)が採られていたといわれる.しかし,その後放置されて長期間を経たためか,現在では,その全域を照葉樹林に覆われている.林の構成種には場所によって変化が見られる.まず,島の周縁部の急傾斜地では,モチノキ,ヤブニッケイが林冠を形成している.島の内部に入ると,スダジイ,タブノキ,ヤブニッケイ,ケヤキ等が林冠を形成し,林床にはベニシダ,ヤブラン,ジャノヒゲ等が生育している.また,尾根沿いには特にスダジイが密生した林分が見られるが,この林分は組成的にヤブコウジ−スダジイ群集に属するものと思われる.本島でキジョランが採集された記録があるが,本種の記録は県内でもこの島と御神島(同町)だけであり,植物地理学上興味深い種である.しかし,残念ながら今回の調査では,その生育を確認することはできなかった.
保護の現状
 と留意点
 烏辺島とその周辺の地域は,1955 年に若狭湾国定公園に指定され,また1971 年には三方海中公園にも指定されている.島内には小さな祠があり,また無人島であることから,現在は自然状態がよく保たれている.今後,釣りや海水浴等で島へ立ち入る人の増加が予想されるが,現状のまま保存されることが望まれる.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)