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名 称 |
敦賀半島の植生 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
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位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市,美浜町:敦賀半島(890,891) | ||
選定理由 |
代償植生であっても郷土景観を代表する植物群落、学術上貴重な種または個体の生育地 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
南北に突き出した敦賀半島は,東側は敦賀湾を経て河野海岸と向き合い,西側は若狭湾を経て常神半島と対峙している.半島の脊梁を南北に伸びている山塊が西方ヶ岳(764.1m ),蠑螺ケ岳(685.5m)である.海岸から標高100m 付近まではクロマツ林やスダジイ,タブノキが優占する照葉樹林が分布し,標高500m 付近までは尾根沿いにアカマツ林,山腹斜面にはクリ−コナラ林,クリ−ミズナラ林,そして標高500m 付近から上には萌芽林状ではあるがブナ林が広範囲に分布し,全体として植生が垂直的に推移していくのが比較的明瞭に見られる.西方ケ岳の植生を概観すると,まず,登山道口にある常宮神社社叢には,ウラジロガシ(胸高直径1.1m ),スダジイ(同1.9m ),タブノキ(同0.8m ),ヤマモモ(同0.6m )の老木があり,かつての自然植生の片鱗が見られる.山麓にはアカマツが広く分布し,ヤマモモ,ガンピ,ウラジロ等の暖地性の植物が散見される.中腹にはクリ−コナラ林,その上部にミズナラ林が見られる.標高550m 付近からはブナ林が見られるが,二次林と思われ,大きいものでも胸高直径30cm 程度である.林間にはハウチワカエデ,オオバクロモジ,マルバマンサク,林床にはツルシキミ,ヒメカンスゲが優占する.特筆すべきは,林間にアカミノイヌツゲ,ベニドウダンが見られることである.本県のブナ林では,林内にベニドウダンが広く見られることは珍しく,貴重といえる.敦賀半島の特筆すべき植物としては,日本海側での分布の北限ないしは東限になるヤマモモ,ヒメユズリハ,ソクシンラン(敦賀市立石),カナクギノキ(敦賀市常宮)等がある.また,半島先端部に近い明神崎には,東側の海岸一帯約100m にわたってモクゲンジ林があり,日本海側では生態地理学的に貴重である. | ||
保護の現状 と留意点 |
ミズナラ林とアカマツ林は,近年広範囲で枯れており,特に胸高直径の大きなものにそれが目立つ.また,場所により植林がかなり進んでおり,これ以上の伐採や植林が行われないことが望まれる.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |