福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 城山のブナ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 冷温帯落葉広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
越前町(旧越前町):城山(883)
選定理由 冷温帯落葉広葉高木林
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  丹生山地は,標高500 〜600m 前後の低い山嶺がほぼ南北方向に丹生郡を縦貫し,西側の斜面は日本海に向かって急傾斜している.城山はその丹生山地の南部に位置し,標高563m の低山である.近年,西部林道幹線道路網が整備されて山頂近くまで自動車で行けるようになった.城山の頂上には山城が築かれた跡があり,また山頂からは日本海が一望できるなど眺望もすぐれている.近年,森林の持つ保健休養機能および国土保全機能を十分発揮させるため積極的に城山一帯の森林の整備が進められている.近年,丹生山地のブナ林は伐採が進み,極端に減少しているが,城山の山頂付近には狭い範囲だが,胸高直径70 〜100cm のブナが林立して自然林に近い林叢を形成している.このブナ林の主要構成種は,林冠を形成する高木層をブナが占め,林間の亜高木,低木層にはハウチワカエデ,ユキグニミツバツツジ,マルバマンサク,オオバクロモジ,オオカメノキ,タムシバ,ハイイヌガヤ,エゾユズリハなど,林床の草本層にはチシマザサ,ツルシキミ,オクノカンスゲ,ツクバネソウなどが見られる.これらは,日本海型のヒメアオキ−ブナ群集の組成を示している.丹生山地は海に近く,低山性にも関わらずブナ林が分布していること,その分布下限がかなり低下しているなど興味ある地域である.越前海岸は対馬暖流による影響で県内では冬期間,最も暖かいところであるが,これは,海岸付近の低い地域に限られ,山岳地域に行くにしたがって急激に温度は低下する.これは,丹生山地では気温低減率が大きい(普通100m 登るごとに0.6 〜0.5 ℃下がるのに対して,本地域は1.1 ℃下がる)ために内陸部へ入るとその高度差にたいして異常低温となるからである.こうした丹生山地の環境が,ブナ林の成立する一つの大きな要因となっていると考えられる.
保護の現状
 と留意点
 越前加賀海岸国定公園内にある.近年,林道が整備され丹生山地の森林の伐採,植林が進み,ブナ林などの夏緑広葉樹林は極端に減少しつつある.その中で城山に自然林に近いブナ林が残存していることは貴重である.現在以上に伐採が進まないように保護を積極的に考える必要がある.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)