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名 称 |
越知山のブナ林 | ||
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学 名 |
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分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
冷温帯落葉広葉高木林 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
越前町(旧朝日町):越知山(849) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
B(県レベルで重要なもの) | ||
解 説 |
福井市から越廼村大味へ抜ける道を水谷町を過ぎたところで左折し,尼ケ谷町の山間の林道を4km ぐらい進むと越知山の頂上に着く.頂上には越知神社があり,この境内には,室堂,護摩堂,越知大権現の本殿と拝殿が建っている.この境内の一段高い場所の開けた土手にトチノキの大木が1 本立っているのが目にとまる.このトチノキは樹高約22m ,胸高直径約2m あって,福井県の巨木の一つとして紹介されている.この辺りの山が伐採,植林が進められる中で,小川地区からの登山道上部から越智神社の境内にかけてブナ林が残されている.大きなブナの樹で,胸高直径約1m ,樹高20m 以上にもおよぶものもある.本林分の主な構成種としては,林冠を形成するのはほとんどブナで,その他にミズナラ,イタヤカエデが混生し,林間にはブナ,オオバクロモジ,ナツツバキ,ユキバタツバキ,キンキマメザクラ,ハウチワカエデ,イタヤカエデ,ヒトツバカエデなどが,草本層にはユキザサ,ヤブラン,チゴユリ,ヤブコウジ,ヒメモチなどが生育している.相観的にはナツツバキ,ユキバタツバキが多いのが,大きな特徴といえる.オオバクロモジ,ヒメモチなどが高頻度に出現することから,組成的には日本海型のヒメアオキ−ブナ群集に属するものと考えられる.神社から200m ほど進むと展望台があり,そこからは嶺北の山々が一望できる.その展望台の周りには,胸高直径約10cm ,樹高7m ほどのブナやミズナラの若い木が育ってきている.この若い林も,何れは境内の周りに残されているようなブナ林へと遷移していくものと思われる.丹生山地には,かつてはブナ林が広く分布していたと思われるが,今はその面影はない.その中で,本地域に小面積ながらブナ林が残されていることは貴重である. | ||
保護の現状 と留意点 |
ブナ林は越知神社の社叢林的なところもあって,小面積ながら山頂一体に残存している.しかし周囲の山はほとんど伐採,植林が進められていることから,このブナ林も伐採の対象にならないか懸念される.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |