福井県みどりのデータバンク すぐれた自然データベース
植  生
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名   称 秋葉山のスダジイ林
学   名
分 類 1 植生
分 類 2 常緑広葉高木林
位   置
(2kmメッシュ番号)
敦賀市:莇生野(867)
選定理由 自然植生もしくはそれに近い植生
区   分 B(県レベルで重要なもの)
解   説  秋葉山は,敦賀市西部の莇生野地区に位置し,敦賀市から小浜市に通じる国道416 号線沿いの住宅地に囲まれた標高約30m ,周囲2km ほどの孤立した小さな山である.山に隣接して敦賀市立粟野小学校がある.本山の東部には剱神社があり,また,山頂には秋葉神社がある.山中には遊歩道が施設されて散策出来るようになっている.剱神社側から通じる遊歩道を登ると,その登り口に,道を遮るように幹周り130cm ほどもある大きな一本のフジが,蔓植物とは思えない様相で上に伸びているのが注目を引く.また,1998 年神社境内に植栽されたスギが,台風によって倒れ無惨な姿を見せていたが,このスギは基部直径約100cm で樹齢130 年ほどであった.本山には,神社の社叢林として残されたと思われるスダジイ林が広がっている.スダジイ林は,本山のほぼ全域を覆い,照葉樹林特有の森林景観をつくり出している.特に,剱神社から頂上に向かって登る遊歩道の両側の斜面に広がるスダジイ林は,見事である.北側斜面(剱神社裏)に発達するスダジイ林は,最も大きなもので胸高直径110cm ,樹高約18m ,多くは胸高直径60 〜90cm で,何本もの巨木が林立して見事な林分を形成している.林冠を形成する樹種としては,他にサカキ,モチノキが見られるが,その中でサカキは胸高直径30cm ほどのものもあるのが注目される.林間にはサカキが優占し,他にアオキ,モチノキ,スダジイが生え,林床にはベニシダ,スダジイ,サカキ,イヌマキなどが出現する.また,南側斜面は,北側斜面とは対称的に,胸高直径20 〜30cm ,樹高16m ほどの若いスダジイが林立して,二次林を形成している.ここも林間にサカキが多数生育する.本県には,スダジイ林が低標高地にかなり広く見られるが,本林分のようにサカキの個体数が多く,しかもサイズの大きなものが生育することは特筆すべきことである.
保護の現状
 と留意点
 社叢林的な要素もあって,現在は良く保存されている.しかし,近年,秋葉山周辺は,工場,住宅の建設など,開発が進んでいることから,本地域が開発の影響を受けないよう留意すべきである.





(C) 福井県自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)