| |||
| |||
名 称 |
中池見の湿生植物群落 | ||
---|---|---|---|
学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
− | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
敦賀市:樫曲 中池見(805) | ||
選定理由 |
学術上貴重な種または個体の生育地、代償植生であっても郷土景観を代表する植物群落 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
中池見湿地は,敦賀市の北東約2km ,標高47m に位置し,面積約25ha の範囲にひろがる.本湿地の四方は標高110 〜170m の低い山によって囲まれているが,この地形は典型的な袋状埋積谷として「日本の地形レッドデ−タブック」に記載されている.本湿地は,耕作放棄水田に形成されたもので,そこに湿生植物が豊かに生育している.永く湿田として管理されてきたことが,本湿地の豊かな植物相を育んできた要因といえる.全体的には,ヨシ,ガマ,マコモ,チゴザサが優占する湿生草原が形成されている.ここには,かつてどこにでも見られたが,今は稀少種となっている植物が多く生育している.すなわち,環境庁(1997)が,絶滅危惧TB 類としてあげているイトトリゲモ,また絶滅危惧U類としてあげているミズニラ,デンジソウ,サンショウモ,オオアカウキクサ,ヤナギヌカボ,ヒメビシ,ミズトラノオ,オオニガナ,ミズアオイ,カキツバタ,ミズトンボ,準絶滅種としてあげているミクリ,ナガエミクリ,アギナシ・ミズワラビが生育している.更には福井県では稀少種となっているミズタガラシ,ヒツジグサ,イヌタヌキモ,ミズオオバコ,ミツガシワ,トチカガミ,ミズユキノシタ,ショウブなどの湿生植物が多く生育する.デンジソウ,ヤナギヌカボ,トチカガミなどは,本湿地が本県唯一の生育地である.また,ミズニラは県内での絶滅が心配されていたが,最近,本湿地で生育しているのが確認されている.さらに,本湿地では50 余種のトンボが確認されており,また,最近ではテントウムシの新種「ナカイケミヒメテントウ」が発見されるなど,昆虫相も県内屈指の豊かさである.以上のように本湿地は,生物多様性の極めて高い湿原であるといえる. | ||
保護の現状 と留意点 |
敦賀市は1992 年に本湿地にLNG (液化天然ガス)備蓄基地の誘致を決め,現在,その建設準備の一環として,一部を保護地区として稀少植物の移植実験を行っている.本湿地の生物多様性を維持することを目的とした全国にもあまり例のない試みであり,県内外から高い関心が寄せられている.しかし,その結果については短い期間で判断できるものではなく,今後,長期的にモニタリングを継続することが必要と思われる.
| ||
(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |