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名 称 |
三里浜の砂丘植物群落 | ||
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学 名 |
− | ||
分 類 1 |
植生 | ||
分 類 2 |
海浜草本群落 | ||
位 置 (2kmメッシュ番号) |
福井市:三里浜(776,777,814) | ||
選定理由 |
自然植生もしくはそれに近い植生 | ||
区 分 |
A(全国レベルで重要、または県レベルで特に重要なもの) | ||
解 説 |
三里浜砂丘は,坂井郡三国町と福井市の地籍にまたがり,九頭竜川の河口部に形成されている.本砂丘はかなり長い間自然条件下におかれていたところから,北陸地方でも有数の規模の砂丘植生が形成されていた.しかし,近年,福井新港と臨海工業地帯の造成によって,それらの大部分は破壊され,現在では僅かに浜の西端部に植生帯が残存しているにすぎない.しかし,そこにおける植生は現在も自然条件下にあり,比較的豊富な植物相と砂浜に特有の群落帯が形成されている.植物相としては,ハマナス,ハマウツボ,ハマボウフウ,コウボウムギ,コウボウシバ,ケカモノハシ,ハマベノギク,ハマニンニク,ハマエンドウ,ハマハタザオ,ウンラン,ハマグルマ,ハマニガナ,ハマゴウ,カワラヨモギ,カワラマツバ,ハマヒルガオなどの浜特有の植物が多数見られる.この中で,本砂丘での絶滅が心配されていたハマナス,ハマウツボがかなり回復してきていることは喜ばしいことである.砂丘は内陸の平地に比べて温暖であっても紫外線が強く,塩分の影響を受けるために,植物が生育するには厳しい環境である.また絶えず風によって砂が動いているところでもある.砂丘の植物分布は砂の移動の大きさによって決まり,帯状構造を示す.すなわち本砂丘では,最も砂の移動の激しい不安定性砂丘地では,コウボウムギ,ハマヒルガオ,ハマニガナなどが生育し,砂の移動が少し弱まる半安定性砂丘地ではハマニガナ,ハマグルマ,ハマゴウ,カワラヨモギ,ハマボウフウ,ハマウツボなどが,安定性砂丘地では木本性のハマゴウの他にチガヤ,アレチマツヨイグサ,ハマハタザオ,カワラマツバなどの比較的茎丈の高い草本が生育し,後方のクロマツ林へ続いている. | ||
保護の現状 と留意点 |
これまで越前加賀海岸国定公園地域として保全されてきているが,オフロードカーのコ−スになったり,砂丘植物群落帯への人の踏み込みがあったりするなど管理は十分とはいえなかった.しかし,最近マツ林に8m 幅のバイパスができ,海岸線が整備され,植生域への自動車の乗り入れの防止柵などが一部施されるなど保全が進められている.これからも植生域への自動車の乗り入れを全面的に禁止し,海浜植物が踏みつけられないように心がけるべきである.
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(C) 福井県自然保護課 出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行) |